大西健介議員は7日、衆院環太平洋パートナーシップ協定(TPP)等に関する特別委員会の総括質疑で、政治とカネの問題で辞任した甘利前大臣の説明責任や安倍総理の任命責任などについて安倍総理らの見解をただした。

 大西議員ははじめに、玉木雄一郎議員が質疑で取り上げた、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による資金運用について、四半期の運用損益は2カ月あれば確定し、公表できると指摘。「年金は、総理のものでも国のものでもない。国民、加入者のものだ。委託者である国民が唯一評価できるのは選挙であり、選挙の後にいくら詳しい数字を出されても遅い。今年は通年で株式の運用比率を変えてやった初めての年であり、リーマンショック以来のマイナスになっているのではないかと不安に思っている。国民が知りたがっているのだから出せるのなら出すべきだ」と求めた。

 TPPの交渉過程をめぐっては、政府が6日に民進党の会合に提出した、本文が真っ黒に塗りつぶされた資料を示し、「真っ黒クロスケの資料だ。これでは審議ができない」とあらためて政府の姿勢を批判。交渉当事者の甘利前大臣が「睡眠障害」を理由に1月28日の辞任表明記者会見以降一切国会に出て来ていないことについては、甘利前大臣を「睡眠障害で1カ月間の自宅療養が必要」と診断した医師が精神科ではなく循環器科の医師であることや、精神科医から「睡眠障害で欠勤させる診断書は書かない。なぜなら眠れないのなら睡眠薬で治療可能だから。こんな診断書がまかり通れば精神科医療に対する不信感が増す」との発言があることなどから、睡眠障害を理由にまったく国会に出てこられないのは理解できないとし、セカンドオピニオンが必要ではないかと主張。あわせて、診断された以降に開かれた14回の本会議に一度も出ないままに歳費を全額受け取っていることにも疑義を呈した。

 こうした状況を踏まえ、「任命責任を果たす」とした安倍総理に対し、「甘利前大臣の病状やいつ頃国会に出てこられるのかを聞く必要があるのではないか」「通常通り国会議員としての公務に復帰するのは難しいとしても、少しでも国会に出てきて協定の交渉当時者として説明責任を果たすよう、甘利前大臣を説得してもらえないか」と要請。しかしながら安倍総理は「安倍内閣の一員ではない。辞任の際に当時は大臣として説明責任を果たしていくという約束を、今は一国会議員として果たしていかれると考えている」と他人事のような答弁に終始した。

大西健介議員 配布資料1

大西健介議員 配布資料1


 大西議員は、甘利前大臣がTPP交渉当事者としての説明責任のみならず、政治とカネの問題についても、1月28日の会見では「秘書の問題についてはいまだ全容解明に至っていないので引き続き調査を進め、しかるべきタイミングに公表する」としながら、それ以後まったく説明責任が果たされていないことも問題視。甘利前大臣は、アベノミクスが曲がり角に差し掛かっているなか経済再生担当大臣、アベノミクスの司令塔としての説明責任も負っているとして、甘利前大臣に説明責任を果たさせる義務がありながら、その責任を果たそうとしない安倍総理を批判。「交渉記録は黒塗り、甘利氏本人も隠す。鶴岡主席交渉官は海外に逃す。そして、年金運用損の額や潜在的待機児童の数も隠す。とにかく都合の悪いことは全部隠す。安倍内閣は隠ぺい内閣だ」と断じた。

TPPの交渉過程を隠し続ける政府の対応を批判する大西議員

TPPの交渉過程を隠し続ける政府の対応を批判する大西議員