7日の衆院TPP特別委員会で質問に立った村岡敏英議員は、自民党の選挙公約の「聖域なき関税撤廃を前提にする限りTPP交渉参加に反対します」を読んだ地方や農家の人々が「『聖域』とは重要5項目を含めて農業が再生産できるようしっかりとやってくれると思っていた」と指摘。ところがその公約は、「聖域」を定義していないなど、どのようにも解釈できる表現にしてあり、それによって安倍総理をはじめ自民党は「公約を守った」と強弁しているが、超党派でとりまとめた国会決議には「米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物については除外又は再協議の対象とする」と明確に記載され、TPPの「大筋合意」は国会決議違反ではないかと追及した。それに対して安倍総理は、「国会決議にかなうかどうかは国会が決めること」と述べ、決議違反と批判されることから逃げた。
衆院秋田県3区内の13万5千軒の全戸を回って農民から意見を聞いてきたという村岡議員は、「TPPを心配して私のところにもいろいろ言ってくる。農村部の人は、総理や大臣ら地位の高い人に本当のことを言えない。その思いを受け止めなければいけない」と安倍総理らに農家の実情把握にもっと努力すべきだと説くとともに、その農家の大半がTPPの内容を理解していないと指摘し、「地方の小さい農家も含めてしっかりと説明すべきだ」と安倍総理らに求めた。さらに政府がTPPの農業への影響試算を過小評価している問題を批判し「農民に正直に説明すべきだ」と追及した。
最後に村岡議員は、「冬の季節に布団を干すと東京はぽかぽかで暖かい。しかしながら(秋田県では)80歳のおばあさんが毎日のように除雪している。その苦しみに対して、光の当たっていないところに対して、しっかりと心を寄せる。ここが政治の大切なところだ」とする秋田県出身で読売新聞編集顧問の橋本氏の論説記事を引用したうえで、安倍総理が「勇ましく『(農業は)成長産業だ。これから8億人市場に出て行く』と言うが、そう簡単に出て行けない人にどれだけの光を当て思いやりを持つかだ」と説き質問を終えた。