岡田克也代表は2日、福岡県を訪れ、今夏の参院選で立候補予定の古賀之士(こが・ゆきひと)公認内定候補予定者とともに、県内3カ所で街頭演説を行った。久留米市では新井富美子(あらい・ふみこ)福岡6区総支部長が、福岡市早良区では山内康一(やまうち・こういち)福岡3区総支部長が、福岡市中央区では稲富修二(いなとみ・しゅうじ)福岡2区総支部長と県連代表の緒方林太郎(おがた・りんたろう)衆院議員がともにマイクを握って民進党をアピールした(写真は久留米市内での古賀候補予定者、新井富美子福岡6区総支部長との街頭演説)。
岡田代表は、熊本・大分での震災被害について、大型連休後の国会では補正予算の審議・成立に協力し、震災対応を迅速に進めることを表明。その上で、福岡県では民進党結成後初めての街頭演説になることから、「これまで民主党をご支援いただいた皆さんの中には、『なぜ今新党なのか』という思いもあるだろう。しかし、野党がバラバラのままで選挙を戦っていたのでは、自民党を利するだけだ。だから考え方の近い維新の党と一緒になった。どうかご理解いただきたい」と呼びかけた。
岡田代表はまた、(1)今夏の参院選で自民・公明両党が3分の2以上の議席を占める結果になれば、安倍総理は憲法9条改正に向けて動き出す(2)アベノミクスといわれた経済政策では格差が広がるだけという結果が出ている――などと述べ、「参院選挙は大きな分岐点となる大事な選挙だ。福岡では古賀さんがこれまでの蓄積を政治の世界に生かす決意をしてくれた」と古賀氏を紹介。さらに「ダブル選挙の可能性も否定できない」と指摘し、現在、福岡県選出の唯一の党所属衆院議員である緒方林太郎県連代表のほか、新人の新井総支部長を含め、元衆院議員の山内、稲富両総支部長など、「民進党には力のある若い顔ぶれがそろっている」と訴えた。
古賀之士(こが・ゆきひと)公認内定候補
古賀氏は、昨年まで地元FBS福岡放送のアナウンサーとして活躍。この日の街頭演説は、高校卒業まで生まれ育った久留米市、アナウンサー時代に住民として自治体活動にも積極的に関わった福岡市早良区、福岡放送本社のある同市中央区と、いわば「ホーム」。アナウンサー時代に県内60市町村すべてを取材で訪れたという古賀氏は、それぞれの会場でこれまでの知見を生かした演説で人々に語りかけた。
なかでも、熊本・大分の被災者に思いを寄せ、91年の長崎県雲仙普賢岳の火砕流被害の取材の中で出会った当時の島原高校の男子高校生のインタビューを紹介。「『家は火砕流に飲み込まれ、父母は仕事を失った。私も進学を諦め、就職にすることにした』という言葉を今も思い出す。今回の震災被害でも、同じような若者が大勢いるだろう」と述べ、こうした若者たちのために、返す必要のない給付型奨学金が必要だと訴えた。「福岡県には良いところがたくさんある。その鉱脈を探し、底上げをしていくお手伝いをさせてほしい。ともに頑張ろう」と古賀氏は呼びかけた。
新井富美子(あらい・ふみこ)福岡6区総支部長
新井総支部長は、日本総領事館職員として長くインドに暮らし、インドから民主党の候補者公募に応募。今年3月に第6区総支部長として公認内定したばかりの新人で、地元久留米市の出身だ。
「つい1カ月前にインドから帰ってきた」という新井総支部長は、候補者として立つことを決意した理由を「インドに23年間住んで2人の子どもを育てる中で、さまざまなものを見てきた。とりわけ、格差社会の歴史の長いインドで、格差がどれだけ人々のやる気を奪うか、肌で感じてきた。そのインドから日本を見たとき、今の日本にはインドとの共通点があると感じ、私にもできることがあるのではという思いに突き動かされた」と語った。
その上で、自身の小学生だった時のエピソードとして、「あんパンが1つあるよ。どうする?」という恩師の問いを紹介し、「先生は『みんなで食べよう。胃の中は膨らまんかもしらんけど、心が膨らむやろ。良かろうが』と言った。私はここに政治の根本があると信じる。いろいろな立場の人々が住む社会で、すべての人々がちょっとずつ幸せを分け合って、みんながよかったねと納得できる。そういう方向性を打ち出していく役目が政治だ」と述べ、「その声を上げる場を与えて欲しい」と訴えた。
山内康一(やまうち・こういち)福岡3区総支部長
福岡3区(福岡市早良区、同西区、糸島市)は、長く藤田一枝元衆院議員が総支部長を務めてきたが、今回、山内康一元衆院議員が藤田元議員の後継として総支部長に就任した。この日は岡田代表、古賀公認内定候補者とともに早良区内の商店街を練り歩き、商店主の皆さんや買い物中の人々にあいさつした後、街頭演説に臨んだ。
山内総支部長は「安倍政権3年4カ月。アベノミクスで本当に皆さんの暮らし、日本の経済はよくなったと言えるのか。安倍政権の3年4カ月と民主党政権の3年、経済成長は安倍政権のほうが低い。あれだけ経済成長至上主義でやってきたのに、経済成長に失敗している、それがアベノミクスの姿だ」と厳しく批判。「子どもの貧困の問題が深刻になってきた。特に福岡は全国平均より子ども貧困率が高い」「今こそ流れを変えなければいけない。経済成長至上主義から、格差を縮小するような共生社会を目指して政治の流れを変えていかなければいけない」と訴えた。
稲富修二(いなとみ・しゅうじ)福岡2区総支部長
福岡2区(中央区、南区、城南区)の稲富総支部長は、この日の街頭演説では司会として黒子に徹し、「古賀(之士)さんを知らない人はいないと思う。でも古賀さんが参院選に出ることを知らない人はたくさんいる。『あの古賀ゆきひとが参院選に挑戦するんや』の声をぜひとも広げてほしい」と訴えた(写真右が投票に行くことを呼びかける稲富総支部長。左は県連代表の緒方林太郎衆院議員)。
さらに、低投票率が続いていることについて「前回の参院選挙も衆院選挙も投票率は5割を切っている。投票に行かないのは、実質的に与党に1票を投じるのと同じことだし、白票を投じるのは今の政治に対する賛成投票と同じだ。だから投票には行かなければいけないし、行って意思を示してほしい。今の政治に不満がある人こそ投票所に行って票を入れなければ」と呼びかけた。
中央区での街頭演説では県連代表の緒方林太郎衆院議員もあいさつに立ち、「そろそろ国会も終盤が見えてきた。熊本・大分の震災に対応するための補正予算の審議が終われば参院選挙にまっしぐらだ。われわれは今の安倍政権のあり方に対して、ノーを突きつけるために頑張っている」「福岡の衆院議員は私1人だ。しかし、解散総選挙があるのではあれば、われわれが擁立する候補全員の当選を目指して、この福岡から政権交代ののろしをあげるという気概を持って頑張っていく」と述べ、支援を呼びかけた。
各街頭演説会場では、熊本地震への募金活動も行った。