24日午後に開かれた参院TPP特別委員会の集中審議で、民進党の2番手として質疑に立った藤末健三議員は、トランプ次期米国大統領がTPP脱退を表明していることに関連し、今後の方針について安倍総理をただした。

 藤末議員は安倍総理に、「TPPについて2つの過ちを犯した。一つはクリントン候補が米大統領選に勝つと1点張りをしたこと。2つ目は2国間協定よりもTPPという多国間協定に傾きすぎたことだ」と指摘。TPPの今後の展開については、「このまま進めることや再交渉は難しい。残るは米国を除いてTPPを進めるか、TPPではなくRCEP(東アジア地域包括的経済連携)など別の枠組みで進めるか」と述べ、今後についての見解を求めた。安倍総理は、「TPPの批准は、RCEPやFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)への道を閉ざすものではない。2国間FTAを進めないというものでもない。世界を俯瞰(ふかん)しながら、TPPに対して日本の信念を見せることが重要だ」と述べ、このままTPP批准の手続きを進めていく考えを示した。

 藤末議員は、日韓両国のEPA(経済連携協定)/FTA(自由貿易協定)のカバー率を示し、「日本は22.7%、韓国は67.4%となっている。両国は産業構造が似ておりライバルと言われているが、現状大きな差が出ている。韓国は米国、中国、EUとFTAを結んでいる。中国も38%に達している。多国間協議と同時に2国間の経済連携協定も進めると明言して欲しい」と述べた。安倍総理は、EUとのEPAを進めている。日中韓でもFTA交渉を進めていきたいと述べた上で、「トランプ次期米大統領があのような声明を出したが、日米FTAよりもまずはTPPについて腰を据えて協議をしていきたい」と話し、TPPに固執する姿勢をあらためて示した。藤末議員は、「まずは日本との貿易が大きな国とのEPA/FTAを結ばなければ、韓国との競争環境が整わない。TPPが止まりそうな今、戦略の転換が必要だ」と、強く指摘した。

 藤末議員は「わが党は提案の政党だ」として、(1)どういう国といつまでに経済連携を結ぶかのロードマップの作成(2)FTA対策本部の設置(3)FTA締結手続きの定型化――の3点をあげ、「明確な道筋を示し、TPPだけではなく広く交渉を進め、そして国民に分かりやすい交渉を進めてほしい」と訴えた。

安倍総理をただす藤末議員

安倍総理をただす藤末議員