蓮舫代表は5日午後、視察先の宮城県七ヶ浜町で記者団の取材に応じた。

 4、5日の2日間にわたって被災地を回った感想として、「被災地の今を見せていただいた。いわゆる公共事業的には進んでいるのは目に見えて分かるが、人々の生活や心の中の悲しい思いというのはまだ癒えておらず、ゆっくりゆっくりと進んでいるのだと実感した。政治が復興を確かなものにするために努力していく」とコメント。

 災害復興住宅での住民との意見交換については、「被災地に限らず特に地方は高齢化が進んでいるので、そのなかで一度なくなったコミュニティや町、村を再建していくことの難しさがよく分かった」と所感を語った。

 震災から6年が経つなかで地元では風化を心配する声が上がっていることには、「国としてやるべきことはしっかり支援していく」とする一方、「今回の宮城県の視察では、雇用を生み出すという、前向きに取り組んでいる若い方の声も聞いてきた。セーターやジーンズで復興する、町に新しいリゾートをつくっていく。6年経って元の町や村に戻すというよりも新しいものを創造していく。私たちは与党の時も、創造をテーマにしていた。創り出していくことに重きを置くことで皆さんの前向きな力を引き出していく、新たなステージに入らなければいけないという思いを持った」と表明。そのために、もう一度今の復興に使われている予算、交付金のあり方を見直していくことが必要だと指摘し、「使い勝手が悪いという声を多く聞いた。縦割りの弊害が固定化されてきているのではないかと思う。その弾力性も含めてどのような使い方にしていくべきか、持ち帰って検討したい」と述べた。

 同日開かれた自民党の定期党大会で安倍総理が憲法改正に積極的な姿勢を示したことへの受け止めを問われると、「私どもは立法府にいる立場として、国民の中からの『憲法の具体的にどの部分を変えてもらいたい』という声には敏感でなければいけないと思うが、さまざまな選挙を通じて、あえて憲法のこの部分を変えてほしいという声はそう大きくなっていない。むしろ憲法9条、平和主義を守ってもらいたいという声が大きいという考えは今なお変わらない。他方で自民党は改憲を党是とされてきていることは承知しているが、国会の憲法審査会ではむしろ自民党の都合によって審査会の理事会自体が止まったり、審査会そのものが開けなくなっている現実もあるので、言っていることと国会でやっていることの矛盾をまず自らひもといてほしい」と注文を付けた。

 国会審議での質問には一切答えようとしない一方で、それ以外の場で積極姿勢を示していることには、「予算委員会で自民党の改憲草案についての質問に一切答えない方が、それ以外の場所で憲法改正は自分の仕事だと言うのは、率直に言って逃げているとしか思えない。ご自身がどのように憲法を改正しどのような国家をつくりたいのか、しっかり国会で答えるべきだ」と指摘した。