衆院法務委員会で28日、共謀罪法案(組織犯罪処罰法改正案)の質疑が行われ、緒方林太郎議員が質問に立った。
緒方議員は、「今回の共謀罪を、テロ等準備罪と言い変えたことについて、最初に私の頭によぎった言葉がある。刑法を考える時に非常に重要な英語での示唆で、和訳すると『困難な事例が悪法を作る』となる」と述べた上で、「これは、『困難な事例』に対応しようと法の解釈を変えたり広げることで、結果的に法律が悪法となっていくということを表す言葉だ。テロ等準備罪と言う『困難な事例』を作り出すことによって、政府の説明責任を軽減し、法案を強引に通して行こうとする姿勢は問題だ」と強く指摘した。金田法務大臣は、「テロ等準備罪は計画行為に加えて実行準備行為が行われた時にはじめて処罰される。呼称も含めこうした罰則の実態も端的に表したもので適切なものだ」などと答えた。緒方議員は、「『困難な事例』を提示することでいろいろな措置を正当化していくとは典型的な独裁者の手法だ。1933年にドイツで成立した法律もこうした『困難な事例』を提示することで成立した」と述べ、こういうやり方に味をしめるべきではないと強く訴えた。
緒方議員がテロリズムの定義について質問したことに対し政府側からはテロリズムをテロリズムを使って説明するような自家撞着的な答弁しか得られず、緒方議員は、「ドローン法や特定秘密保護法の中にテロリズムの定義がある。これらの法律では『政治上その他の主義主張』と十分絞り込んでいるが、今度のテロ準備罪では『特定の主義主張』と言い変えて範囲を広げている。その結果として論理的に苦しくなり、自家撞着を起こす説明にしかならない」と指摘した。