衆院法務委員会で28日、共謀罪法案(組織犯罪処罰法改正案)の質疑が行われ、井出庸生議員は、一般人が共謀罪の捜査対象になるか否かで金田法相と盛山副法相の発言が異なっている問題などについてただした。
「(21日の答弁で)盛山副法相はシロ、クロ、グレーの人がいて、グレーの人は見極めてみなければ分からないと言っていたが、今日はグレーの人は一般の人と言えないのではないのかと答弁している。前回の答弁から変えたのか」と副法相を追及した。盛山副法相は「組織的犯罪集団に入っている人で何らかの嫌疑が生じる以上、それを一般の人というかグレーの人というかの表現だが、嫌疑があるということはシロではないので、一般の人に嫌疑がかかることはない」と答えた。
それに対して井出議員は「前回(21日)の答弁の方が正しかったのではないか。説明の仕方がまずかったのは今日で、21日の答弁の方が実直だった」と述べた。金田法相に対しては「グレーの人の存在を認めるか。そのグレーの人は一般人か否かどう判断するか」と見解を求めた。
金田法相は「組織的犯罪集団に関与している嫌疑が無ければ、その人物に対する捜査は行われない。組織的犯罪集団とは一定の重大犯罪等を行うことを構成員の結合関係の基礎としての共同の目的とする団体をいう。テロリズム集団、暴力団、薬物密売組織等の違法行為を目的とする団体に限られる。一般の人がこれらの団体と関わりを持つことは考え難い」と説明、一般の人は捜査対象にならないとの考えを示した。
井出議員は共謀罪法案、通信傍受法、特定秘密保護法、戦前の治安維持法を例に挙げ、「刑事立法をするときに権力側は必ず『一般の人は関係ない』と簡単に言ってきた歴史がある」と指摘。「一般の人が犯罪に関係があるかないか。罪の対象になるかならないか。それをギリギリ詰めていけばグレーの人は出てくる。できるだけ抑制的にすべきだ」と人権侵害を引き起こさないよう捜査権限側に自制を強く求めた。