衆院予算委員会で8日、安倍内閣の基本姿勢に関する集中審議が行われ、民進党の1番手として金子恵美議員が質問に立った。福島県が地元の金子議員は、(1)今村前復興大臣の発言と辞任(2)東日本大震災追悼式での総理の式辞や、吉野復興大臣就任後の所信で「原発事故」の言葉がなかったこと――等について取り上げ、安倍内閣の東日本大震災・原発事故からの復興に対しての姿勢をただした。

 金子議員は、東日本大震災から7年目を迎えるなか、「被災地では目に見える復興は進んできたが、人々の生活再建と生業の再生はまだまだ道半ばでもある」と強調。行方不明の家族を探している方々がいること、長い避難生活で体調を崩し病気になったり、介護が必要となった方が多くいること、震災関連死の数が増え続けていること、今なお約7万人以上の人々が避難を余儀なくされていることなど、被災地の厳しい現状に触れ、「復興の影の部分に対応することが本当の復興を進めることではないか」と提起した。

今村前復興大臣の問題になった主な発言

 そのうえで、本当の復興を懸命に目指し、誇りを持って暮らす東北の人々の心を深く傷つけた今村前復興大臣の発言を厳しく非難。今村前復興大臣をめぐっては、辞任に至った4月25日の、東日本大震災についての「まだ東北で、あっちの方だったから良かった」という発言のみならず、これまでも数々の問題発言が指摘されてきたが、安倍総理はかばい続けていた。金子議員はこれを問題視し、「今村大臣の発言に共通しているのは、被災者や地域に寄り添う心が欠如していることだ。重責にふさわしい人材を起用できなかった総理の責任は重い」と断じた。

 東日本大震災追悼式での安倍総理の式辞に「原発事故」の言葉がなかったことに安倍総理は、「原発事故は終わっていない。配慮が欠けているとのご指摘は真摯(しんし)に受け止めているところ」などと釈明。また、衆参両院の特別委員会での所信表明で「原発事故」の言葉がなかったことについて吉野復興大臣は「原発災害という言葉は述べなかったが、命を懸けて原発災害を払拭することをやっている。内堀福島県知事から、福島県は平時ではない、有事だというお話をいただいた。ご指摘されて初めて分かったので、原発災害が復興の原点だという考えでこれからの復興行政に取り組んでいきたい」と発言した。

 金子議員は、「吉野復興大臣は福島の(帰還困難区域を含む)双葉地方を選挙区とする大臣なのだから、原発事故、原子力災害という言葉もしっかりと常々おっしゃっていただきたい」と要請。その上で、安倍総理に対しては「吉野大臣の声をしっかりと閣内で受け止めていただきたい」「復興庁の長は内閣総理大臣であり、復興庁は他の省庁よりも一段上にある。残念ながら本当の復興に向けての心がない安倍総理のもと復興が前進しないことを危惧している」と訴えた。

PDF「衆議院予算委員会金子恵美議員配布資料」衆議院予算委員会金子恵美議員配布資料

安倍内閣の東日本大震災・原発事故からの復興に対する姿勢をただす金子恵美議員

安倍内閣の東日本大震災・原発事故からの復興に対する姿勢をただす金子恵美議員