衆院法務委員会で12日、共謀罪法案(組織犯罪処罰法改正案)の質疑で逢坂誠二議員は、徹底した水際対策を講じるよう強く訴えた。
逢坂議員は冒頭、11日、羽田空港でインドネシア人の男が入国審査の途中でいなくなり不法に入国した事案に言及。入国審査の際に不審な点があり、詳しい審査のため別室で待機させていたところ、手続き未了のまま入国審査ブースをすり抜けて出て行ってしまったというもの。金田法務大臣はこの事案について、「このインドネシア人は今朝入国管理局に出頭し身柄を確保したが、厳格な水際対策が求められるなかこのような事案が発生したことは遺憾だ。再発防止を徹底するように入国管理局に指示をした」などと報告。逢坂議員は、(1)入国審査の際に不審な点があり、詳しい審査のため別室で待機させていたところ出て行ったこと(2)入国審査をしている係官の目の前を堂々と通って出て行っていること――の2つの問題点を指摘し、「がっちり対策を講じてもらいたい。いまテロ対策、共謀罪の議論をしているなか、『遺憾である』などというものではない」と強く訴えた。
逢坂議員はまた、警察庁の「警察の公安部門は、公共の安全と秩序を維持することを目的として活動する」という答弁を踏まえ、「具体的な犯罪、事件・事故がない場合でも公共の安全と秩序を維持する観点から必要があると認めれば何らかの捜査活動や情報収集活動を行うということでよいか」「今回の共謀罪法案による組織的犯罪集団の疑いのあるものが、公共の安全や秩序に抵触するおそれがあり、公安部門として必要があると判断した場合には今回の組織的犯罪集団もしくは組織的犯罪集団のおそれがあるものに対して何らかの情報収集活動を行っても違法ではないという理解でよいか」と確認。警察庁は「公共の安全と秩序の維持の観点から警察は必要な範囲で捜査活動を行う」「組織的犯罪集団に当たるかどうかという観点ではなく、公共の安全と秩序の維持の観点から必要な範囲で警察活動を行うことはある」などと繰り返したため、逢坂議員は、「要するに対象になることは否定できないことだと思う」と整理した。
逢坂議員が「今回の共謀罪法案は日本の法体系の大転換だという認識はあるか」とただしたところ、金田法務大臣は「ご指摘は当たらない」と答弁。逢坂議員は、法務省が「組織的犯罪集団が関わるかどうかが要件であり、全ての人が対象になるわけではないから大転換になるわけではない」と説明していることにも触れ、「いわゆる大臣が言うところの組織的犯罪集団に関わりのない方々も、疑義がある場合何らかの捜査や調査、検討の対象になるのであれば、刑法体系の大転換だ。だからこそわれわれは一般の方々が対象になるのかどうかにこだわっている」と力を込めた。