衆院法務委員会で8日に行われた共謀罪法案(組織犯罪処罰法改正案)審議で民進党の山尾志桜里議員は、共謀罪で告発を受けた被告発人に対して、捜査前、つまり嫌疑の有無を調査・検討する段階での警察による尾行、張り込み、聞き取りなど、共謀罪と一般人の関わりとその違法性についてただした。
尾行について金田大臣ら法務省側は、「捜査前の尾行が許されるかどうかは、警察がどのような目的で行うのかが特定されない限り答えられない」と述べた。張り込みと聞き取りについては、「嫌疑がない場合での張り込みや聞き込みは捜査としてはできない」と答弁した。これに対して山尾議員は検討や調査として尾行や張り込みについて聞いているにもかかわらず「捜査としてはあり得ない」と繰り返し答弁する法務省側に対して「答弁を逃げている」と断じた。
最初から最後まで答弁がすれ違っていたが、それでも明らかになったことについて山尾議員は、「嫌疑が生じる前は、捜査ではないが調査・検討は行われる。調査・検討の対象に一般人は入る。嫌疑がなければそれで終わるが、嫌疑があれば捜査対象になる。嫌疑が生じた場合は一般人ではなくなる」と指摘した。
この共謀罪法案の実態を踏まえて山尾議員は、「一般市民は捜査の対象にならないから安心してください」という金田法相の発言について「全く砂上の楼閣でフィクションだ。フィクションをもって偽りの安心の土台の上で277を超える刑罰法規新設を議論している」と批判し、法務省側に誠実に答弁するよう強く求め質問を終えた。