衆院法務委員会で12日、共謀罪法案(組織犯罪処罰法改正案)の質疑が行われ、階猛議員が質問に立った。

 階議員は、(1)共謀罪の準備行為を現行法の予備行為に置き換えても問題はないのではないか(2)罪刑法定主義の観点からも問題がある――という2点について質問をした。

 TOC条約が求めている要件は「犯罪の合意を処罰する」ことだが、共謀罪では「実行準備行為を伴う合意を処罰する」ことであると、金田法務大臣や岸外務副大臣との審議のなかで、あらためて確認した上で、合意と現行法上の予備(準備行為)に置き換えても、条約は担保できるのではないかと質問したが、岸外務副大臣は、合意内容を推進する行為という要件を国内法に付すことを認めているとだけ答弁。なぜ予備罪ではだめかということについて質問を重ねたが、納得できる説明はなかった。

 今回の共謀罪法案の別案として、現行法の組織犯罪処罰法の改正で予備罪の範囲を必要に応じて増やす法案を民進党として提出したことにも触れた。

 さらに、「犯罪成立前の任意捜査」の可能性について、罪刑法定主義の観点からは犯罪成立前には嫌疑が生じないのでないかと質問。林刑事局長は、「ある一定の場合に、将来、その事象が発生することの蓋然性が高度に認められるような場合、その場合にはまだ成立していない段階で、将来の犯罪である場合でも、嫌疑が認められる場合がある。将来発生する犯罪について任意捜査ができるか否かについては最高裁に判例がある」とした。

 階議員は、任意捜査の判断は誰かと質問。林刑事局長は「捜査機関が状況を判断する。任意捜査の適否は後ほど各種の手続きで検証される場合がある」と述べた。これに対して「捜査されてから、後から検証するのでは遅い。その時点で人権は、プライバシーも含め侵害されている」と述べ、引き続き質疑を続けていくことを述べ、質問を終えた。

共謀罪法案の質問に立つ階猛議員

共謀罪法案の質問に立つ階猛議員