衆院法務委員会で19日に行われた共謀罪法案(組織犯罪処罰法改正案)の質疑で、民進党の3番手として質問に立った。

 枝野議員は、法務省の林刑事局長のこれまでの答弁等を踏まえ、6条の2の「組織的犯罪集団」の定義について確認を求めた。枝野議員は「団体の一部の人、例えば幹部の人たちだけで別表第3の『罪を実行すること』を合意し、結合関係の基礎としての共同の目的を共有した場合には、幹部の中枢メンバーだけが組織的犯罪集団になるということでいいか」と質問。林刑事局長は「その通りだ」とした。

 枝野議員はまた、「組織的犯罪集団の構成員ではなくても、つまり別表第3の『罪を実行すること』という共同の目的を共有していなくても、当該行為を実行するための組織の一員であれば計画の主体になる」旨をこれまでの議論で林刑事局長が答弁したことの確認も求めた。林刑事局長は「組織的犯罪集団の構成員と非構成員との間での計画がどういう場合に成立するかということになると、非構成員も計画することは可能であるが、組織的犯罪集団が関与しているという認識は必要である。その認識を前提としたうえで、構成員と非構成員との間で計画が成立するということはある」と答弁。枝野議員は「組織的犯罪集団であるということの認識は必要である(というのは)条文上明らかなので将来解釈は変わらない。まちがいないか」と大事な答弁であるからと、念押しして確認を求め、林刑事局長は「明確に条文上それが求められている。そういった認識が必要である」と語った。

 枝野議員はまた、組織的威力業務妨害と信用棄損の問題を取り上げ、「威力業務妨害は共謀の段階では判断できない」と述べ、マンション建設反対運動や原発の稼働を止める運動、環境保護活動などを行う際、「なるべく違法なことはやらないと思っていても、未必の故意があるかもしれないケースがあり、どこまでが威力業務妨害か適正な行為かはあとで総合判断するしかない」と指摘。組織的威力業務妨害罪を共謀罪法案の対象にしていることについて「実際に行きすぎる行為をするかどうか分からない段階で共謀罪にしてしまえるのは危なくて仕方ない」と断じた。枝野議員はマンション建設反対運動、基地建設反対運動、環境を破壊する開発に反対する運動などはすべて、相手側の業務を差し止めることを目的としているとし、「その業務を辞めさせること自体が反対運動を行う組織にとって共同の目的そのもの。デモや座り込みを行うが、業務妨害罪が成立する線を越えるかどうかは、計画段階や組織を作った段階ではだれも分からない。故意があったとしても未必の故意だ」と指摘した。枝野議員は「まさに本質が出てきた」と述べ、共謀罪の対象要件について「業務妨害罪などといったものは明確に外す。せめてそうした話にしなければならないのに、その段階に行く前に終局して採決しようとしているから怒っている」と述べ、法案の問題点もただすことなく採決を急ぐ政府・与党らの姿勢を非難した。

共謀罪法案の問題点を追及する枝野議員

共謀罪法案の問題点を追及する枝野議員