参院法務委員会で30日午後、共謀罪法案に関する質疑が行われ、真山勇一議員が質問に立った。

 真山議員は、同法案をめぐる最大の懸念は、(1)「一般人」が捜査対象となるのかどうか(2)権力による監視が強まるのではないか――の2点だとあらためて強調。

 その上で、29日の参院本会議で金田法務大臣の答弁の「環境保護や人権保護を標榜していたとしても、それがいわば隠れみのであって、実態において結合関係、協同の目的が一定の重大な犯罪などを実行するような団体と認められるような場合は、組織的犯罪集団だと認められ、テロ等準備罪で処罰されうる」にあった「隠れみの」に着目し、「隠れみの」かどうかをどのように調べるのかと迫った。

 政府は、「実際に『隠れみの』と判断するためには、その団体の存在目的として標榜(ひょうぼう)していることと、実際の犯罪実態を調べ、照らし合わせ総合的に判断することになる」「組織的犯罪集団になっているという具体的な嫌疑がない一般の団体を捜査したり監視することはありえないし、それをすれば違法になる」などと答弁。一般の団体でありながらその目的を「隠れみの」とみなされ捜査の対象になることは否定したが、真山議員は「これまでの事案からも、嫌疑がなくとも警察が調べること、調査は有りうる」と反論した。

 盛山法務副大臣は、「公共の安全と秩序の維持の観点から、警察庁は情報収集活動については通常の活動としてやっている。日常の活動が適切か否かというのは法案審議とはポイントが違う」などと強弁。真山議員は、「普段から通常業務として調査をしているなか、テロや重大犯罪の防止のためということで、今やっている活動はむしろ拡大していくと思う。それが懸念されている」と指摘した。

 捜査に当たって必要な令状についても、政府は「嫌疑がないものに令状が出ることはない」と主張するが、15年度で見ると通常逮捕状9万213件の請求に対し8万8806件が発布、捜索・差押・検証等許可状については24万6961件の請求に対し24万1293件が発布と、それぞれ発布率は98.4%と97.7%と、ほぼすべてが発布されることが答弁で明らかになった。これに対し真山議員は、「チェック機能を果たしているのかどうか。歯止めになっていない」と懸念を表明した。