衆院予算委員会で24日、安倍内閣の基本姿勢(国家戦略特区等)を問う集中審議が閉会中審査として行われ、民進党の2番手として今井雅人議員が質問に立った。今井議員は今治市が公開している2015年4月2日の資料で、同市の企画課長と課長補佐が首相官邸で総理秘書官に面会、獣医師養成系大学について協議したとの資料を示し、その関係者の証言をあわせて紹介した。

 「面会後今治市では、ついにやったとお祝いモード。普通は陳情など(各省)担当者レベルに会えればいいほう。それが官邸に来てくれと言われ、安倍総理の名代である秘書官に会えた。びっくりだ。絶対に誘致できる。さすが加計さんだ。総理にも話ができるんだと盛り上がった」との証言を読み上げたうえで、当時の総理秘書官の柳瀬唯夫経済産業審議官に「今治市の課長・課長補佐に会ったか? どんな話をしたか?」などとただした。

 柳瀬氏が「お会いした記憶はない」と答えると、今井議員は「記憶にないということは会ったか、会わなかったか断定できないということか」と重ねて追及した。しかし柳瀬氏は「覚えていないのでこれ以上は言えない」「覚えていないので会っていたとも会っていないとも申し上げようがない」などと真相を明らかにすることを避け続けた。

 このような答弁を受けて今井議員は、今回の疑惑で総理や首相官邸の関与を裏付けるさまざまな資料が今治市や文科省などから出てきているにも関わらず、政府側が「記憶にない」という答弁に終始し、それを立証する資料を一切出していないことを問題視し、面会当日の首相官邸の入館記録と柳瀬氏作成の面会記録の国会提出を要求した。

 さらに今井議員は、7月15日の京都産業大学の記者会見で明らかになった内閣府の同大に対する差別的な対応について追及した。京産大によると、昨年の10月17日に内閣府に獣医学部の設置提案を行ったが、それ以降今年1月4日の告示まで、2018年4月開学という政府側の想定スケジュールを一切知らされていなかったという。

 その一方で今治市や加計学園にはこのスケジュールが内閣府から伝えられていた資料を示し、「両方とも(設置を)希望しているのに、一番重要な開学時期について片方には内々に教え、もう片方には伝えてもいない。こういう状況は行政のあり方としてどう考えるか」と前川喜平・前文部科学事務次官にただした。前川氏は「今から考えれば不公平だったと思う」と行政が歪められていたことを認めた。

 このほか今井議員は、安倍総理が6月24日に神戸市内で行った講演で獣医学部設置について「2校でも3校でも」と発言したり、東京都議選中に秋葉原駅前で安倍総理を批判する聴衆に「こんな人たち」と言い放ったりしたこと、加計学園獣医学部の建築費の見積額が相場の約2倍にもなり、今治市民の間で経費水増しへの疑念が広がっている問題を指摘し質問を終えた。

PDF「衆院予算委今井雅人議員配布資料」衆院予算委今井雅人議員配布資料

安倍総理の「こんな人たち」発言をただす

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獣医学部開設までのスケジュールを語る今井議員

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