民進党代表選挙6日目の26日午前、代表選挙管理委員会主催の近畿ブロック合同候補者討論集会を兵庫県神戸市内で開催。枝野幸男、前原誠司の両候補は会場に集まった400人を超える党員・サポーターや自治体議員らを前に自らの所信などを表明し、会場参加者からの質問に答えた。討論会終了後には元町・大丸神戸店前で街頭演説会も行った。
集会では冒頭で各候補がそれぞれ所信を表明し、続いて候補者同士が互いに質問し答えた。
前原候補は、「維新の党の勢力が強く、昨年の参院選挙では京都県選挙区で1議席しか獲得できなかった近畿地方の党勢をどう回復させていくか」と質問。枝野候補は、民進党に期待し支えてくれている地域の人々とのネットワークを構築し、スクラムを組み草の根から党の組織基盤を立て直さなければいけないと主張するとともに、自民党との違いと同時に維新の党との違いを強く、誤解なく訴えていくことが重要であるとの認識を示した。
枝野候補は「自民党への不信感を持つ人々に明確に答えを示すことが大事だ。安全保障法制、特定秘密保護法、共謀罪等に対しどうに訴えていくか」と質問。前原候補は、「反対」の立場を貫くと同時に、よりいいものを示していくことが大事だと説き、特に安保法制では憲法に違反する法律は無効だという視点で取り組むと同時に、外交安全保障で国民の命を守るという観点から現実的に対応できる政党だと示していく必要があると述べた。
会場の参加者からは、「なぜ維新の党が支持されているのを明確に把握していく必要があると思う。見解を聞かせてほしい」「衆院総選挙で共産党との連携はあるのか」「思いが届かなかった場合でもチームとして民進党を支えていけるのか、その決意と覚悟があるのか」「民進党のばらばら感は、総支部長がいなくなると組織がガタガタになることに原因があると思っている。組織改革をする気構えはあるのか」「マスコミがこの代表選挙を面白おかしく(候補者)二人の違いを際立たせようとしているが、マスコミや会場あるいは全国の皆さんが安心できるような発言を聞かせてほしい」「弱者についての認識と、(それに対して)どのようなことが政治の役割だと考えているか」といった質問、要望が上がった。
兵庫県から参加した女性は「『国民とともに』『市民とともに』と言われるが、私の周りの身近な人たちは『民進党はあかん』と言う。『どこがあかんの』と聞くと誰も何も言わない。『ほな、自民党はどこが良いの』と聞いてもこれも何も言わない。この会場には民進党に与党になってもらいたい人が集まっているが、一般の人は変な流れに沿って『民進党はあかん』と言うだけだ。これをどうすればいいのか。民進党の皆さんはばらばらだという声も聞くが、そんなことで政治を改革できるのか、改めてほしい」と訴えた。
これに対し枝野候補は、「厳しいなかで頑張ってくださっている党員・サポーターや自治体議員、あるいは国会議員の候補予定者の皆さんと、党本部や国会議員が寄り添っていたのか。地域で支えてくれている皆さんと向き合おう。国会議員の候補者がなかなか出てくれないところも日本中にはある。こうしたところで支えてくれている人たちの気持ちに対し想像力を働かせることができる政党にならなければいけない。そのリーダーシップを取りたい。『なんか駄目なんだよね』という声に対しては私たちが謙虚な反省と、しかし現状に対しては自信を持つことが必要だ。過去には失敗をしているが、反省を踏まえて今度は大丈夫だという自信を示さずに誰がついてきてくれるのか。一方で、党内で外に向かって『駄目だ駄目だ』という人には厳しく指導するというメリハリも重要だと思っている」と回答。
前原候補は、「旧民主党政権では、子ども手当や高校の授業料無償化、農業者の戸別所得補償法制度などさまざまな分野で一つひとつの政策は受けるものだったが、背後に社会認識や、自民党に代わる対立軸となる思想、哲学が足りなかったのではないか。党を支えてくれている大事な人たちが旧民主党は何を目指し、どういう社会認識を持ち、何を変えようとしているのかを共有できていなかったのではないかと思う。経済成長や企業が儲かればいずれは国民に恩恵がくるだろうという今の自民党ではなく、それぞれの人々が持っている不安を解決するための施策をやらせてもらい、そのなかで社会の好循環を生み出していくという今の民進党の哲学をしっかり打ち出し、しっかり理解してもらうこと。どういう政党なのかという説明のやり直しが求められているのではないかと思っている」と答えた。