民進党は11月8日、両院議員総会を党本部で開き、柳田稔参院議員を両院議員総会長に選出するとともに、大塚耕平代表が提案した増子輝彦幹事長をはじめとする「党役員人事」「今後の党運営について」をそれぞれ承認した。
役員人事について大塚代表は「議員の数が大変少なくなっての新体制。党の再生に向けては、やらなければならないことが山積している。可及的速やかに体制をスタートするためにご尽力をいただかなければならないポストを中心に提案する」と説明した。
今後の党運営に関連して「話し合うとは聞き合うことだ」という仏教の言葉を引き合いに出し、「これからわれわれは大変厳しい道のりを経て再生をしていかなければならない。その過程でそれぞれが意見を持つと思うが、『話し合うとは聞き合うことだ』というこの精神を共有していければ、きっと活路が見出せ、私たちは必ず再生できると確信している」と党運営の基本方針を示した。
■今後の党運営について大塚耕平代表提案要旨■
今、われわれが直面している問題は大きく3つある。総選挙の結果、党が分裂し、選挙の対応が混乱し、事後処理もまだ終了していない。そして党の事務職員の流出、地方組織の混沌(こんとん)。惜敗した元議員のフォローアップもしなければならない。第1点は、これらについて早急に実情把握を行い、その対策に取り組んでいく。
第2点として、国会運営で衆院側の情報がなかなか参院側に入ってこないという衆参のいびつな構造に留意しながら国会対策を行っていく。
第3点は、再来年の統一自治体選挙、参院選挙を見据えて、どのような基本戦略で臨んでいくのか。その戦略の検討、構築、何より皆さんとその戦略を共有することが大事。その戦略に応じた党の組織・運営の見直し、戦略の実行に取り組んでいく。
1 全国幹事会での広聴・集約
10月30日の全国幹事会で4時間超の意見聴取を行ったが、まだ足りないという意見が多々あり、都道府県連から追加の意見を文書でたくさん受け取っている。これらを整理・集約できた段階で次の全国幹事会を開く。
2
地方自治体議員3組織における広聴・集約
わが党には、自治体議員、女性議員の各ネットワーク、青年委員会の3つの強力な地方組織基盤がある。それぞれの関係者と今週末に意見交換するが、それ以外にも可能な限り地方の皆さんの意見、困っている点、統一自治体選挙に向けてのさまざまな不安を伺って対応を進める。
3 党内意見の広聴・集約
党内の意見も広く聞いて集約する。各ブロック、地域の実情について、強制ではないが、国会議員に意見書・提案書を提出してもらいたい。自分であればどのように考え、どういう戦略で統一自治体選挙と参院選挙に臨むかについて文書で提出してほしい。事務局職員からも党運営のあり方、今後の対応について意見書を求める。
4 地域ごとの実情把握
地域ごとの実情把握が必要になる。民進、友党である立憲・希望にどのような議員が所属しているかは、都道府県ごとによってまちまちである。民進党の国会議員がゼロの都道府県が25。仮に立憲の国会議員もカウントした場合には、ゼロという県が4つ減る。希望の国会議員もカウントした場合には、11減る。両方の友党の国会議員をカウントした場合には15減る。その上で、民進系の都道府県議会議員がいるところは基盤があると仮に想定すると、23減る。残る2つも、市町村会議員は若干名いる。地方議員も含めると全部の都道府県にそれなりの方がいる。
したがって、国会議員の意見や力学だけでこの状況を打開していこうとすると、地方組織や地方議員に大きな迷惑をかけ、混乱を生ぜしめることになる。これらの点を各議員も十分に精査し考えてもらいたい。可能であれば同一都道府県内・同一ブロック内の全国会議員が集まる機会を自主的に設けて徹底した議論を行い、地域ごとのそれぞれの実情をしっかり把握をしてもらいたい。
5 選対本部での対策検討
こうした実情を踏まえた上で対策を検討するという観点から、3つの本部を設ける。まず「統一地方選挙・参議院選挙対策本部」を設置する。選対委員長を事務局長とし、選対委員長経験者である鉢呂吉雄参院議員をはじめ多くの皆さまの意見を参考にしながら、友党との関係、支援団体のニーズ、その後の総選挙の関係も見据えながら、基本戦略等も勘案した上で選挙対策について早々に議論する。
6 改革本部での対策検討
もはや従来どおりの組織・業務運営は不可能である。まずそのことをぜひ理解してもらいたい。党務の役職を受け党務に臨んでもらうが、今までと同じように事務職員がサポートするわけではない。かなりの人数が立憲に移籍したり、これから希望に移る方もいる。
その前提の上で、わが党の実情と党を取り巻く情勢に適応させていく必要がある。それを検討するために「党の戦略・組織・運営に関する改革本部」を設置する。政調会長には足立政調会長が就任したが、今までのように「次の内閣」を設置できないので、どう運営していくか、足立議員に検討してもらう。常任幹事会も立ち上げるが、従来あったブロック代表を置けないので、その構成も変わる。ただし地方の意見は、十分に拝聴しなければならないので、全国幹事会をしっかりと活用する。
7 基本政策検討本部の設置
「基本政策検討本部」を立ち上げる。わが党と同規模の友党が複数誕生したことや内外情勢の変化に鑑み、民進党が目指す社会像・政策体系を戦略的・大局的な見地から議論・検討し、先々の政策協議・政策合意に備える。
今後は公党間の協議であったり公党間の合意というのが大変大事になってくる。そういう場面が迫ってきてから、あわてて議論をするというのでは対応が不十分になる。このような場を設けて、多くの議員に参加してもらい、どういう政策を実現するためにわれわれが連携するのか。国民に応えるためにさまざまな戦略を練っていく。
8 次期党大会(来年1月予定)での対応
以上を検討した結果として、党の規約等に改正が必要なものが出てきたら、来年1月に開催予定の党大会で規約改正を行う。
「統一選、参院選、衆院選に向け総力を結集する」 増子輝彦幹事長
元気で明るい大塚代表に加えて、楽しくやる増子輝彦です。はからずも大塚代表から、幹事長をやれというご下命を受けて、皆さんの温かい拍手でご承認をいただいた。驚きや、あるいは大変な重責だなと、今大変プレッシャーを感じている。
先ほど柳田稔新両院議員総会長が1990年の当選という話をしたが、私も実は1990年の衆院初当選組である。岡田(常任顧問)さんもそうだ。鉢呂(常任幹事会議長)さんもだ。われわれは仲間、まだ国会に籍を置いているということ、ありがたい限りである。
いずれにしても、大塚代表が心意気高く、そして今後の党運営についてもいろいろな形の中できめ細かく方針を出した。私の役割は、この代表の思いをどのような形で具現化をしていくか。そのためには、両院議員の皆さんのご指導とご支援、そして国民の皆さんの声が何よりも大事だろうと、そんな思いを持っているところである。
浅学非才だが、大塚代表の弁慶役となって、しっかりと皆さんとともに次の参院選挙や統一自治体選挙、そして衆院選挙に向けて、あらゆる力を皆さんと結集して頑張っていきたい。どうぞ皆さま方の温かいご指導とご支援を賜りますよう心からお願いを申し上げる。