本日は、神津里季生・連合会長、ジャーナリストの田原総一朗先生をはじめ、ご来賓の皆さま方には、ご多忙の中、日曜日にも関わらずご出席を賜り、誠にありがとうございます。民進党がたいへん厳しい状況にある中、変わらずご厚情、ご高配を賜っておりますことに、心から御礼を申し上げます。
昨年の総選挙の経緯、その後の展開については、皆さまご承知のとおりです。あらためて、民進党として候補者を立てて総選挙に臨まなかったことを、ご支援いただいている皆さま方ならびに国民の皆さまに、党代表の立場からおわび申し上げます。
民進党は厳しい状況に置かれています。しかし、立ちすくんでいるわけにはいきません。公党として存在する以上、その責務を果たさなければなりません。
憲法は「主権が国民に存する」ことを定めています。国民が主権者であることを実感できる唯一の機会は、総選挙において政府を選ぶ時、政権を選択する時です。私たちには、主権者である国民の皆さまに、政権選択の機会を提供申し上げる責務があります。
1996年に小選挙区制が導入され、2009年、日本でもようやく本格的な政権交代が実現しました。その過程において、最大の支援団体である連合の皆さまには絶大なご助力を賜りました。さらには、政権交代の必要性について、田原先生をはじめ、多くのジャーナリスト、学識経験者、文化人等、各界の皆さまが中立的な立場から啓蒙していただき、私たちの前身である民主党にも叱咤激励をいただきました。
自由党と合併し、国民新党や社民党と連携したことも、政権交代の原動力であったことは言うまでもありません。その結果として、幅広い中間層が政権交代を後押ししてくれました。
次期総選挙へのカウントダウンは始まっています。私たちは主権者である国民の皆さまに、政権選択の機会を提供しなくてはなりません。
現状、民進党だけで政権交代を訴えてもリアリティはありません。かかる状況下、志と目標を共有できる他党の仲間と手を携え、次期総選挙での政権交代実現に向けて、工夫と努力をする決意を確認し合う場が本日の党大会であります。
昨年の総選挙では、元民進党の仲間を中心とする立憲民主党と希望の党を合計すると比例得票数が2076万票となり、自民党の1855万票を221万票も上回りました。この結果を踏まえ、次期総選挙において、立憲民主党、希望の党、そして私たち民進党を中心に、政権交代実現を目標とするのは当然のことと考えます。
代表就任時に、全てはそこからの逆算で党運営に当たらせていただくと申し述べました。
その第一歩として、地方組織や、全国青年委員会、女性議員ネットワーク会議等、党内各組織の意見をよく拝聴し、そのうえで、総選挙までの中間地点に当たる来年の統一地方選挙、参議院選挙に向けて、具体的な対策と工夫を始める方針であることも申し述べました。
以来、党内外の関係各位のご協力も賜り、議論と検討を重ね、昨年12月26日の全国幹事会・両院議員総会合同会議において、「党の原点は国民生活の向上」であること、「改革し、新しい党へ」生まれ変わること、「選挙における友党との連携」を図ることなど、5点の確認事項が承認されました。
本大会では、その確認事項を踏まえ、具体的な対応を図らせていただきます。
そのうち、「選挙における友党との連携」について、若干付言致します。
この3カ月、様々な場面、チャネルで、立憲民主党、希望の党の幹部と直接、間接に接触してきました。昨年の総選挙までは民進党の仲間であったのですから、当然のことです。
その結果、去る1月27日、立憲民主党の枝野代表から、統一地方選挙に関して、民進党候補者とのバッティングを回避することが基本であること、及び全国的にその方針で対応したい旨、発言がありました。そのため、本大会の後、統一地方選挙について、まずは都道府県議、政令市市議に関する調整を実務的に開始するべく、働きかけます。
参議院選挙についても、1人区における野党候補一本化、複数区におけるバッティング回避、比例区対応に関して、実務的な働きかけを行うとともに、本大会の後、昨年11月8日に設置した「統一地方選挙・参議院選挙対策本部」を本格稼働させ、両選挙の準備作業を加速させます。
また、本大会における規約変更によって、次期・第49回総選挙における経過措置として、調整のうえ、昨年の第48回総選挙において他党で立候補した元民進党議員、元民進党候補者の活動を支援できることを明記します。
これを受け、次期総選挙に向けて、落選中の元民進党議員、元民進党候補者及び立候補に至らなかった元民進党候補者の扱いについて、本大会の後、実務的な調整を開始するべく、友党に働きかけます。該当者は、希望の党または無所属で立候補した方が中心であることから、希望の党、玉木代表には議案の内容についてお伝えしてあります。
友党との連携は国会議員のみならず、自治体議員にも努力をしていただく必要があることをお願いしてきましたところ、既に11県において地域政党等の設立の取り組みが始まっています。規約案では、そうした地域政党等との連携も明記することとなっております。今後も、その他の都道府県でも取り組みが進むことを期待します。
なお、最大の支援団体である連合におかれましては、「連合
政策・制度推進フォーラム」という新たな枠組みを設立されるとのことです。友党連携を進める一助として、足並みを揃えていただいているものと思います。本件についても感謝申し上げますとともに、地域政党等と連合地方組織との関係に関しても、さらにご高配を賜ることをお願い申し上げます。
繰り返しになりますが、私たちは、民進党の原点が「国民生活の向上」であることを再確認しました。党綱領にも、民進党は「生活者」「納税者」「消費者」「働く者」の立場に立つことを謳っています。そのうえで、自由と民主主義に立脚した立憲主義を守ること、共生社会をつくること、未来への責任、改革を先送りしないこと、人への投資で持続可能な経済成長を実現すること、国を守り、国際社会の平和と繁栄に貢献することを掲げています。
全国幹事会等において、民進党が目指す目標を今一度国民の皆さんに力強くアピールするために、綱領や基本政策について議論を深めたいとの真摯(しんし)な要望が提示されたことを受け、基本政策検討本部検討会において、全国青年委員会、女性議員ネットワーク会議の代表を共同座長として検討が行われました。答申内容については、大会の中で報告していただきます。
今国会も国民生活に関わる法案や政策が議論されます。最大の焦点である「働き方改革」についても、「国民生活の向上」が民進党の原点であることを踏まえて国会論戦に臨むとともに、友党と連携し、政府案への対案提出を目指します。
安倍首相は憲法改正発議を目指しているようですが、スケジュールありきの改正は容認できません。立憲主義、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義等の原則を堅持しつつ、適切に対応していきます。
国会活動を怠りなく行いつつ、来年の統一地方選挙、参議院選挙に向けた対応を進めます。4月になれば統一地方選挙1年前となることを踏まえ、志を同じくする仲間を糾合し、できる限り早期に、幅広い中間層から支持される中道的な「新しい党」への移行を目指します。「国民生活の向上」のために、選挙を勝ち抜き、政権を担い得る「戦う党」に「生まれ変わる」ことが必要です。
3隻に分かれた船が、それぞれ長く独自に航行していけば、その距離は広がり、お互いの顔は見えにくくなります。船の距離が広がらずに並走できるように、船を係留し合うロープやワイヤーを張るための最初の一投をショットラインと呼ぶそうです。ショットラインが届かない、受け取ってもらえない、完遂できない場面もありましたが、いろいろと工夫の余地はありますので、今後もショットラインを投げ続けます。
「穏やかな海は良い船乗りを育てない」という英語の格言があります(A Smooth Sea Never Made A
Skillful
Sailor)。民進党は航海術を誤り、悪天候の荒海に入ってしまいましたが、この状況を乗り切ることは、良い船乗りに成長するチャンスでもあり、その後には、政権交代という目的の港を目指すことも可能となります。
3党連携と地域ネットワーク型の政党像を追求するとともに、一致団結して荒海を乗り切り、公党としての責務を果たすことを誓い、代表としての挨拶とさせていただきます。
ご清聴、ありがとうございました。
以上