民進党は9日午前、国会内で福島復興・原発事故対策本部(増子輝彦本部長=幹事長)と政務調査会第四部会合同の会議を開き、2018年度復興関連予算、復興の現状や被災地の現時点での課題等について復興庁、法務省、内閣府の担当者から説明を聞いた。
また、被災地の復興加速に向けて民進党などがこれまで提出してきた「被災者生活再建支援法改正案」「災害弔慰金支給法改正案」「東日本大震災特区法改正案」「土地等処分円滑化法案」で指摘した内容への対応状況を復興庁から確認するとともに、現状に即して法案内容の見直し・拡充を行っていくことになった。会議には増子本部長のほか、同本部長代理で第四部会長の金子恵美衆院議員、同本部事務局長の大島九州男参院議員、田名部匡代・杉尾秀哉両参院復興特理事も出席した。
増子本部長は冒頭のあいさつで、「東日本大震災発災から間もなく7年を経過しようとしている。われわれの政権時に復興庁ができ、復興の歩みを進めていることは間違いないが十分でないことも多々ある。汚染水の問題や福島第1原発事故の完全収束などを考えると、どのくらいの時間軸で収束するか予測ができない厳しい状況にある。一方で大熊と双葉を除いては避難指示が解除され帰還ができるようになったが、依然として帰還率が極めて低い。皆さんが戻れるようにするにはどうしていかなければいけないか。研究施設の創設やインフラの整備を引き続き進めていかなければいけないが、合わせて風評被害や健康問題、企業立地の問題など多くの課題が山積している。福島復興、原発事故収束にはオール福島、オールジャパンで取り組まなければいけない」と語り、あわせて福島だけでなく東日本大震災の被災地全体への対策強化も重要との認識を示した。
帰還が進まない理由についての質問に復興庁の担当者は、子育て世代では避難先で子どもに友だちができたり、その他の世代も含め避難先での暮らしが定着してきたことが背景にあるとして帰還の進展は時間との闘いだと回答した。帰還に向けた学校の開設に関して増子本部長は、帰還者数が少数にとどまっても学校は継続的な運用が不可欠と指摘した。
中間貯蔵施設の進捗状況と「30年以内に最終処分場を県外に作る」と定めている点での対応の道筋に関しては、中間貯蔵施設の用地取得については民有地でも予定の5割を超えるなど順調に進んでいる旨の説明があった。一方、最終処分地については「環境庁とも十分に相談し調整していく」と述べるにとどまった。
風評被害対策の具体的戦略を提示するよう求められ、復興庁の担当者は、予算を拡充したとして新たにマスメディアを使い広く情報発信していくとし、新たに計上された予算を効果的に活用していくなどと説明。福島県と風評払拭対策協議会を設置して協議していることや農林水産物に関して流通実態調査を実施していく旨を語った。年度内に公表し指導していくとする調査について金子議員は、調査をだらだらと実施して結果がまとまって終わりということでなく、指導に向けた十分な準備をするよう強く求めた。