参院予算委員会で28日に行われた2018年度政府予算の締めくくり質疑で、民進党・新緑風会から小西博之議員が質問に立ち、財務省「森友文書」改ざん問題について佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問での発言の矛盾等を追及した。

 小西議員は、財務省の決裁文書改ざんについて全く真相究明されていないことを指摘し、予算の成立後も必要に応じて予算委員会を開いていくべきだと主張した。これに対して金子原二郎予算委員長は、「国政上の諸課題がこれだけ山積している状況であるから、予算委員会は総予算の審査が終了したら終わりということは私としては全く考えていない」と答え、財務省に対して本委員会に調査結果の速やかな提出を求め、今後も理事間で協議をして開会するのは当然とする考えを示した。

 質疑では、(1)佐川氏の証人喚問での発言の根拠(2)改ざん文書の提出が国会の国政調査権を妨害したこと(3)改ざん文書を前提に「信を問うた」とする昨年の総選挙の正統性(4)なぜ1972年政府見解をもって集団的自衛権の行使を可能とする解釈ができるのか――等について安倍総理らを問いただした。

 小西議員は、佐川氏が27日の証人喚問で述べた「昨年勉強してずっと一連の書類を読んで国会で答弁させていただいた中で言えば総理も夫人の影響もありませんでした」という発言を取り上げた。佐川氏が言っている書類が何か、委員会に書類の提出を要請し、「書類が何たるかを説明できなければ佐川氏の説明は根拠を失う」と迫った。

 佐川氏が、森友学園との取引に政治家等の関与がない証拠として不動産鑑定に基づく土地の売り払いであったことを理由としていることについても触れ、会計検査院に鑑定書に基づく土地の売り払い価格が適正であったかを質問した。会計検査院は、「地下埋設物撤去・処分概算額を算定する際に必要とされる慎重な調査検討を欠いていたと認められると(検査報告書に)記載している」とし、小西議員は、「これで総理夫人等の関与がないという佐川氏の答弁の根拠が失われた」と指摘した。

 質疑終局後に、伊藤孝恵議員が討論に立った。伊藤議員は政府予算に反対を表明し、その理由として、(1)財政健全化目標なき予算編成である(2)格差是正に取り組む姿勢が感じられない(3)子育て世代の不安解消に資する取り組みが不十分(4)専守防衛原則の転換を疑われる内容が盛り込まれている――などの点を挙げた。

 討論終了後に採決が行われ、2018年度政府予算は起立多数で参院予算委員会で可決された。

PDF「参院予算委員会伊藤孝恵議員反対討論」参院予算委員会伊藤孝恵議員反対討論

伊藤孝恵議員

伊藤孝恵議員