民進党など野党6党は12日午後、財務省「森友文書」改ざん問題野党合同ヒアリングを国会内で開き、同日、朝日新聞と毎日新聞が朝刊で報じた森友学園をめぐる記事の真偽について財務省・国土交通省などの担当者に確認を求めた。

 朝日新聞は「森友学園への国有地売却問題で、地下のごみの量を見積もっていた2016年当時、近畿財務局が大阪航空局に積算量を増やすよう依頼した、と取引に関わっていた当事者が説明していることがわかった。撤去費が8億円ほどとなるよう持ちかける内容で、大阪航空局はいったん見積もった額から数億円ほど増額したという」と報道、毎日新聞は「財務省近畿財務局が2015年8月、国有地の生活ごみの存在を、土地改良工事の過程で確認していることが明らかになった。工事の担当業者が毎日新聞の取材に証言した。同省はこれまで国会で『改良工事で生活ごみは確認されなかった』とし、『新たな生活ごみ』は16年3月に見つかったと答弁しており、事実と異なる説明をしていたことになる。約8億円の値引きの根拠としてきた『新たなごみ』の存在が大きく揺らぎ、値引きの積算にも影響する可能性が出てきた」と報じた。

 二つの記事の事実関係についてただしたのに対し、財務省の担当者は「報道内容については承知しているが記事の中身の事実関係については、本日の参院財務金融委員会でも答弁しているように、事実関係については財務省として調査をしていく」と回答。国交省の担当者は「朝日新聞の件だが、近畿財務局から依頼を受けて今回報道されているような内容については承知していないので国土交通省としても調査していく」旨を回答した。

 記事内容を踏まえて「大阪航空局に確認を行ったか」と質問したところ、国交省の担当者は「まだ連絡していない。(記事を)見たばっかりなので、これを受けて」などと述べ、朝刊の報道からだいぶ時間がたっているがとの指摘にも、「これから調査したいと思っている」などと悠長な回答が示された。電話を大阪航空局にかけるところから調査は始まるのではないかといった指摘にも「報道されているような部分についてはまったく承知していないので、しっかりと調査したい」といった回答が繰り返された。

 「近畿財務局が大阪航空局に積算量を増やすよう依頼した」との報道が事実かどうかは大阪航空局に確認すればすぐに分かるはずで、ごみの積算を担当した大阪航空局の職員は4人だけだとの指摘も出席議員からあり、「今すぐ電話で確認してほしい」と繰り返し求め、押し問答の末に国土交通省担当者がしぶしぶ確認作業に応じることを了承。確認のために一人が退席したが、最終的に「局長不在で確認が取れなかった」との回答で、しかも電話した先は大阪航空局長ではなく国交省本省の航空局長であるなど、不誠実な回答と対応が繰り返された。

 国交省担当者は、昨夜の段階で朝日新聞から新聞内容の確認を求めるファクシミリが届いていたことを認めたが「そのまま放置した」と回答。出席議員からは「記事内容が事実と異なるのであれば訂正を求めるはず。放置したということは認めたということだ」と指摘する声があった。

 ヒアリングではまた、「皆さんが悪いわけではない」などとして、各省庁の担当者も安倍政権への忖度(そんたく)のために追い詰められ、言い訳答弁を繰り返し国会審議が形骸化し、国民の政治不信を増大させる事態がもう1年以上も続く日本の政治を憂う発言もあり、各省の担当者に「こういう事態はもうやめよう」と訴えた。

 次回のヒアリングでは、今回の記事を受けて大阪航空局に調査し、その結果を示すよう求めた。