――「働き方」を変える、「働く者」の安心を創る!――
民進党は希望の党と設置した『働き方改革検討のための合同会議』で働き方改革に関する検討を進め、4月12日に同会議で、政府の「働き方改革」法案の対案である「安心労働社会実現法案」を審査し、了承した。民進党は16日、政務調整会議で法案を了承。近く国会に提出する。
「安心労働社会実現法案」は、(1)「雇用対策法の一部を改正する法律案」(2)「労働基準法の一部を改正する法律案」(〝長時間労働規制法案〟)(3)「労働契約法の一部を改正する法律案」(4)「労働安全衛生法の一部を改正する法律案」(〝パワハラ規制法案〟)――の4法案で構成される(PDFダウンロード参照)。「安心労働社会実現法案」のポイントは、以下の通り。
残業時間の上限規制の導入とその実効性の担保
2014年に超党派で過労死等防止対策推進法を制定した。しかし、過労死や過重労働が原因の精神疾患等、健康被害が後を絶たない。この状況を変えるためには、実質的に無制限となっている労働時間の上限に罰則付きの法規制で歯止めをかけるとともに、この上限規制を実効性あるものとするための規制強化が必要不可欠である。そこで、対案には上限規制の導入に加え、以下の内容を盛り込む。
- 1日の勤務終了から次の勤務開始まで一定の休息時間(インターバル)を確保することを義務付け
- 事業主に個々の労働者ごとに労働時間管理簿を作成して、始業・終業時刻や実労働時間等を記録することと、本人の要請で情報開示することを義務付け
- 違法残業など法令違反に対する罰則を強化
裁量労働制の要件の厳格化
裁量労働制は何時間働いてもあらかじめ定めた時間しか働いたとみなされない制度であり、悪用されれば「定額働かせ放題」となってしまう。現に、過労死や健康被害が発生している。民進党は、安倍政権がめざしてきた裁量労働制の対象業務拡大は行わず、裁量労働制が働く者のためになる働き方となるよう、現行制度の規制強化策を対案に盛り込む。
具体的には、
- 健康管理時間(社内と社外での労働時間の合計)の把握と記録を義務付け、上限規制の範囲とすることを要件化
- 適用対象者への事前説明と本人同意手続の強化、及び同意の撤回手続の法定化
- 裁量労働に関する法令違反をした企業に、制度の利用を一定期間中止させる制度を導入
――等である。
民進党は安倍政権に対し、裁量労働制の対象業務拡大を政府の法案から削除するよう求めてきたが、安倍政権は対象業務拡大のみならず、現行制度の問題を解決するために必要な改善策まで、一緒に削除してしまう方針である。そこで、対案には、安倍政権が削除する、対象者の健康確保措置の充実等も盛り込む。
「高度プロフェッショナル制度」の創設規定を削除
安倍政権が導入をめざす「高度プロフェッショナル制度」は、労働基準法の労働時間規制を全て適用除外とし、過重な長時間労働を合法的に課すことができる制度である。民進党はこの制度の創設に断固反対しており、断念するよう政府に求めている。よって、対案にはこの制度を盛り込まない。
パワーハラスメント等に対する規制の導入
パワハラが原因となって自殺に至る事案が生じるなど、職場のパワハラが大きな社会問題となっている。また、取引先など他の企業の従業員からのパワハラやクレーマーによるハラスメントも問題となっている。そこで民進党は、誰もが安心して働き続けることができる職場環境の確保を図るため、職場のパワハラや過剰なクレームなどから労働者を保護するための措置を事業者に義務付けることを対案に盛り込む。
以上
※PDFデータの一部に不具合がありましたので、修正しました。