民進党など野党6党は19日、「イラク日報隠ぺい」野党合同ヒアリングを国会内で開いた。ヒアリングでは、イラク日報隠ぺい問題以外にも、現職自衛官が小西洋之参院議員に罵声を浴びせた問題も取り上げた。

 冒頭、防衛省の担当者は、現職自衛官の不適切発言を謝罪した。小西議員に対して罵声を浴びせたのが統合幕僚監部指揮通信システム部の幹部自衛官である3等空佐の30代男性で、この男性が「帰宅後ランニング中に、参院議員会館付近で偶然遭遇した小西参院議員に対し、暴言と受け取れる不適切な発言を行った」と説明した。 出席議員からは、「暴言と受け取れるとは何か」「小西議員の説明と食い違いがあるのか」という質問が出て、防衛省の担当者は「本人から聞き取りを継続中。まだ確定していないのでこのような言い方になっている」「現時点で聞き取った内容をこの場でつまびらかにするのは差し控えたい」などと答えた。

 これに対し参加議員からは、「『国民の敵』だと本人は言わなかったと言っているのか」と声が上がり、「実力組織の幹部がこういう発言をするのは極めて重大な問題だ。個々人の単なる過ちではない。防衛大臣の責任も問われる問題だ」と厳しく批判した。

 小野寺防衛大臣が小西議員へ謝罪の意を述べながらも、「若い隊員なので様々な思いがあり国民の1人として当然思うことはあると思う」などと発言したことについても問題視し、「国会議員を『国民の敵』と思うことは仕方ないという発言をしている」「(自衛官を)擁護するつもりがないならば大臣の発言を撤回してほしい」などと出席議員から指摘があった。防衛省の担当者は、「大臣の発言については国会等の場で答弁すると考えている」と答えた。

 他にも「防衛大学校でどういう教育をしているのか」と疑問の声が上がり、小西議員は、「ヒアリングの場に防衛大学校でシビリアンコントロールに使われている教材集を出してほしい。しっかり調査をして、彼の発言も特定して、全自衛隊員のシビリアンコントロールと法令順守の再教育をやりなおして、どういうやり方をするか具体的計画を出してほしい」と要請した。

 イラク派遣日報の問題については、昨年2月時点でイラク派遣日報の調査を国会で要求して省内を調査しているにもかかわらず、今月になって昨年3月27日に陸上自衛隊研究本部で見つかっていたとしていることに、「1年前に隠ぺいしているのではないか」と小西議員は指摘した。さらに小西議員は、3月31日に小野寺防衛大臣に存在が報告されたイラク派遣日報を3月7日には文書課長が存在を把握していたことについて、「官房長にも事務次官にも大臣にも上げないことはありえないのではないか。大臣は早い段階から官邸から隠ぺいしろと指示されて31日に公表することにしたのではないか」などと疑念を表明した。