岡田克也代表が26日の衆院本会議で行う施政方針演説に対する代表質問(案)は次の通りです(写真は1月6日の衆院本会議で安倍総理を追及する岡田代表)。


 民主党代表の岡田克也です。民主・維新・無所属クラブを代表し、安倍総理の施政方針演説について質問します。

 まず冒頭、極めて残念なことを安倍総理に申し上げなくてはなりません。甘利大臣の政治とカネをめぐる問題です。今日に至るまで、国民に対するまともな説明は一切なされていません。内閣の重要閣僚であり、安倍総理の盟友中の盟友と言われる甘利大臣です。任命責任はもちろん、安倍総理自身にも重大な説明責任があります。逃げずに、その責任を果たさなければなりません。安倍総理の答弁を求めます。

 私は25年間、政権交代可能な政治の実現をひたすら目指してきました。失敗も、挫折もありました。しかし、日本の政治を良くするためには、自民党と競うことのできる今一つの政治勢力を創り上げなければならない。この信念は変わりません。まだ道半ばですが、必ずやり遂げることを国民の皆様にお約束します。

 政治活動を行うなかで、最近強く懸念していることがあります。日本の将来に大きく関わることです。

 第一に、経済の低迷、不安定な生活が長く続くなかで、日本社会の一部から寛容さが失われつつあるということです。

 第二に、格差が拡大し、公正さが失われていることです。過去20年の政策は、この格差拡大を放置しただけでなく、助長してきました。

 第三に、困難な、しかし次世代のために必ず解決しなければならない重要課題を先送りする政治が続いていることです。

 私は、野党第一党の代表として、そして、日本の将来に大きな責任を負う一人として、これらの問題に正面から立ち向かう覚悟です。

 私が目指すのは、多様な価値観や生き方が尊重される自由な社会、誰一人排除されることなく、ともに助け合いながら生きることのできる共生社会、そして、次世代のために責任を果たす社会です。現在も、将来も、一人ひとりが尊重され、大切にされる日本の実現を私は目指します。

 今月6日、私はこの本会議場で、安倍政治の本質は、国民に対して正直に説明することなく、本当の課題解決を先送りする、目先重視のバラマキの政治であると断じました。安倍政治が続けば、日本の将来が危ない。その強い危機感を持って、基本的な政策について、私の考え方を明らかにし、提案し、その上で安倍総理に質問します。日本国総理大臣として、正面から答弁することを求めます。

(若者、女性)

 今年は「18歳選挙権元年」です。若者、若者、若者の年です。一人ひとりが尊重され、大切にされる日本を実現するために、まず大切なことは、若者の声をしっかりと聞くことです。ここ数年の目先の政治ではなく、10年、20年、そして50年先を見た政治を実現しなければなりません。

 例えば二十歳(はたち)の若者が国会議員や市長を目指す道が、なぜ閉ざされているのでしょうか。選挙権だけでなく、被選挙権年齢の引き下げも実現すべきです。超党派で議論しようではありませんか。安倍総理の答弁を求めます。

 年収400万円以下の世帯の若者の大学進学率は3割に過ぎません。私は、すべての若者が夢と希望を持って学ぶことのできる日本ではなければならないと思います。授業料減免や奨学金の拡充、返済不要の給付型奨学金の創設が必要です。安倍総理の答弁を求めます。

 性的少数者、LGBTに対する差別をなくすことは、特に若い世代にとって大きな意味を持ちます。LGBTの子どもたちの7割が学校でいじめに遭い、3割以上が子どものうちに自殺を考えたと答えているのです。私は、多様性を認め合うことで、より豊かな社会がつくられていくと信じています。これら差別を解消する法案を今国会で成立させようではありませんか。安倍総理も賛同してください。答弁を求めます。

 日本を変えるのは、若者と女性です。2年前、安倍総理は、2020年にはあらゆる分野で指導的地位の3割以上が女性となる社会を目指すと華々しく打ち上げました。しかし、昨年末閣議決定された男女共同参画基本計画では、これを大きく下回る数値目標が並んでいます。朝令暮改とは、まさにこのことです。女性活躍社会、本気でやる気があるのですか。答弁を求めます。

 今や夫婦共働き世帯が当たり前の時代です。しかし、日本の社会保障制度や税制は、夫が働き、専業主婦が家庭を守るというモデルのままです。例えば、総理自身が指示した配偶者控除の見直しなど、働き方、生き方に中立な税制や社会保障制度に根本から変える必要があると考えます。安倍総理の答弁を求めます。

 昨年12月の最高裁判決は、民法の夫婦同姓に関する規定は合憲としつつ、立法府の裁量の問題と指摘しました。民主党提出の選択的夫婦別姓法案は、夫婦別姓を強制するものではなく、別姓という選択肢を用意するものです。国際的に見ても、日本のように法律で夫婦同姓を義務付けている国は、まずありません。安倍総理が賛成できない理由について、答弁を求めます。

(アベノミクスの評価)

 アベノミクス3年の成果として、安倍総理は、雇用が増え、給料が上がったなどと誇らしげに語っています。確かに、数字の中には評価できるものもあるでしょう。しかし、大多数の国民の実感は異なります。多くの調査結果で裏付けられているように、生活は厳しくなっているというのが現実です。安倍総理、謙虚に国民の声に耳を傾けるべきです。答弁を求めます。

 経済成長は重要です。そのためには、規制改革などの成長戦略によって民間投資を喚起し、生産性を高めなければなりません。いわゆる第三の矢です。具体的内容に違いはありますが、基本的な考え方は私と安倍総理とで大きく変わりません。

 ただ、異次元の金融緩和によって円安・株高を実現し、その間に第三の矢によって持続的な経済成長を軌道に乗せるというのが当初のシナリオだったはずです。しかし、安倍政権下で生産性は上がっていません。他方で、最近は株価も不安定な動きを見せています。今こそ第三の矢に全力を挙げるべきではないですか。そうでないと、「アベノミクス総崩れ」になりかねません。安倍総理の答弁を求めます。

(成長と公正な分配の両立)

 私の経済政策と安倍総理の経済政策の根本的な違いは、経済成長の果実をどう分かち合うべきかの考え方にあります。私は、税制や社会保障政策によって、公正な分配を実現することと経済成長を両立させることが重要であると考えています。また、公正な分配によって格差のカベを取り除き、人の持つ能力を最大限発揮できるようにすることは、持続的な経済成長にとって不可欠だと考えます。公正な分配なくして持続的成長なしです。これらの認識について安倍総理はどうお考えでしょうか。あくまで経済最優先なのでしょうか。それとも、経済成長と公正な分配の両立ですか。答弁を求めます。

 安倍総理は昨年2月、格差が拡大しているとの私の指摘に対し、「格差が拡大しているかどうかは一概に申し上げられない」と答弁しました。現実を見ない誤った認識です。他方で、総理は最近、「傾向としてはそれが進んでいるという状況はしっかりと把握をしている」と答弁しました。認識が変わったということでしょうか。日本において、格差は拡大しているのかいないのか、安倍総理の明快な答弁を求めます。

(人への投資)

 格差是正、公正な分配のための具体策について、提案をします。

 家庭で十分な食事がとれない子どもが増えています。給食のない夏休みに体重が減ってしまう子どもが出始めていることに、私は心を痛めています。貧困の中で、学ぶことのできない子どもも増えています。こうした子どもたちを支援するためのこども食堂や学習支援の試みが、心ある人々によって全国に広がっています。私も現場を見て、地域の人々や若者の行動に頭が下がるとともに、政治の手が届いてないことを実感しました。子どもたちが今、どんな状況にあるのか、総理にも是非現場を見ていただきたい。

 子どもの6人に1人が貧困状況にあります。市町村の就学援助を受けている子どもの割合は15%という高率です。子どもの貧困の問題解決には、政治がしっかりとその責任を果たさなければなりません。この問題の解決なくして、一億総活躍など夢のまた夢です。民主党政権時に児童手当の対象を中学生まで拡大しましたが、1人あたりの支給額は未だ十分ではありません。財源を確保しつつ引き上げる必要があると考えますが、安倍総理の答弁を求めます。

 私は昨年2月の代表質問で、日本のひとり親家庭の貧困率が5割を超え、国として恥ずべき状況にあることを示しつつ、児童扶養手当の増額を提案しました。来年度予算案で、私の提案を一部受け入れたことは評価しますが、全く不十分です。1日100円が200円になっても、食事をとることすらままなりません。更なる児童扶養手当の増額や支給対象年齢の引き上げが必要と考えますが、総理の答弁を求めます。

 独り暮らしの高齢者、とりわけ女性の貧困は深刻です。年金制度の持続可能性を考えて導入されたマクロ経済スライドは、私は基本的に必要だと考えていますが、大きな問題もあります。基礎年金が将来この制度によって到底生活できないレベルにまで大幅にカットされる可能性が高いのです。年金の最低保障機能とマクロ経済スライドをどう調和させるか、早急な検討が必要です。安倍総理は同意されるか、答弁を求めます。

 過去20年、政府は所得税・相続税の累進性を弱め、格差を拡大してきました。特に、所得1億円を境に租税負担率が大きく低下することは問題です。これは金融取引、すなわち株の売買利益などが分離課税され、総合課税になっていないことが原因です。現行20%の金融課税をまず25%に引き上げることについて、安倍総理の答弁を求めます。

 今まで述べてきた、若者、女性、子どもが直面している厳しい状況に政治が正面から向き合うことが必要です。格差拡大が先進国共通の課題となるなか、格差の少ない、世界のモデルとなる日本を創り上げようではありませんか。

 当然そのためには財源が必要です。まず、今述べたように金融課税を25%に引き上げること、中長期的には、所得税・相続税の累進強化、そして、高齢世代であっても、負担能力のある方々には、働く世代と同様な負担を求めることで対応すべきです。この格差是正のための税制改革を安倍総理はどう考えますか。答弁を求めます。

(働き方大改革)

 今の日本は非正規の働き方が拡大する一方で、正規社員は長時間労働に苦しめられています。一人ひとりを大切にする日本を実現し、若者や女性が安心して働ける環境をつくるためにも、日本人の働き方を根本から見直す大改革が必要です。

 今や非正規で働く人々は全体の4割です。この20年間で倍増しました。多様な働き方はあってよいのですが、正規雇用を希望しながら、不安定な働き方を選ばざるを得ない人々が多いことは、日本の将来にとっても極めて問題です。初めて就職した職が非正規雇用だという人が、男性で3割、女性で5割です。そして、非正規雇用者の3人に1人が世帯の中の主たる稼ぎ主です。事態は深刻であるとの認識が安倍総理には足りないのではないですか。答弁を求めます。

 昨年、労働者派遣法改正にあたり、安倍総理は派遣で働く人々が正規社員として働くことにつながると繰り返し強調しました。私は、全く逆に正規の働き方が減ることを強く懸念しています。ここ数年間の状況を見極め、総理の見方が誤っていることが明らかになった場合には、直ちに派遣法の再改正を行うことを約束してください。安倍総理の答弁を求めます。

 安倍総理は施政方針演説で、同一労働同一賃金の実現に踏み込むと明言しました。「均等待遇」を実現すべきとの我々の主張に耳を傾けたとすれば評価します。しかし、同じ演説の中で、非正規雇用者の「均衡待遇」の確保に取り組むとしています。これでは同一労働同一賃金とは言えません。どちらが本当なのでしょうか。安倍総理の答弁を求めます。

 働き方大改革の今一つの柱は、長時間労働の解消です。安倍総理は、介護や保育のための施設整備を推進しています。施設整備は必要です。しかし私は、先進国最悪レベルの長時間労働こそが、仕事と家庭の両立を阻み、介護離職、育児離職、少子化の深刻な原因であると考えています。更には、女性の社会進出を阻むことにもなっています。安倍総理はこの認識を共有しますか。答弁を求めます。

 労働基準法改正案には、裁量労働制の適用拡大や、いわゆる高度プロフェッショナル制度の創設が含まれています。長時間労働が蔓延する日本において、更に長時間労働を常態化する可能性があります。介護や子育てと働くこととの両立を不可能にするとともに、過労死のリスクを高めるもので、到底容認できません。安倍総理の答弁を求めます。

 多様な働き方の実現は重要です。しかし、まず行うべきは、日本人の働き方を根本から変えるための最小限の労働時間規制です。総労働時間の規制、終業から始業までに一定時間を確保する労働時間インターバル規制、毎週必ず休日を取得させる絶対的週休制などを法制化すべきです。これらの必要性について、安倍総理の答弁を求めます。

(財政健全化)

 私は、「原理・原則主義者」と言われることがあります。必ずしもそうではないと、自分では思っていますが、財政規律、この原則だけは曲げるわけにはいきません。それは、子どもや若者、未来の世代への責任を果たさなければならないと考えるからです。施政方針演説の中に財政健全化について具体的言及がなかったことは、内閣総理大臣として無責任です。日本の持続可能性にとって、最も重要な課題から逃げることは絶対に許されません。

 まず、経済成長と財政健全化を両立しなければなりません。安倍総理は経済成長なくして財政健全化なしと強調していますが、財政健全化なくして持続的な経済成長は可能とでもお考えなのでしょうか。両立か経済成長優先か、明確な答弁を求めます。

 今までの自民党の失政の結果、日本は巨額の借金を抱えています。2020年度基礎的財政収支黒字化は、財政健全化の第一歩に過ぎないのです。政府の試算でも、名目3%以上の楽観的な経済成長を前提としたうえで、更に6・5兆円の調整が今後必要とされています。2020年度に向けた具体的な財政健全化計画をいつ明らかにするのですか。責任ある答弁を求めます。

 財政健全化は国力の源です。財政を再建する確固たるプランを持たずして、国民が安心して消費し、企業が積極的に投資することは考えられません。社会保障制度の維持や防衛力の整備など、国民の命と暮らしを守ることすら困難になります。我々は、歳出改革、成長戦略、歳入改革の3本柱で、着実に財政健全化を進めるための財政健全化推進法案をこの国会に提出します。政府も同様の法案を準備すべきです。安倍総理の答弁を求めます。

 消費税の引き上げは、これ以上先送りすることはできません。しかし、税制抜本改革法には、行政改革の推進をその前提として明記しています。今後10%への引き上げ決定までに、行政改革に総力を挙げることを約束してください。安倍総理の答弁を求めます。

(沖縄基地問題)

 極めて危険な状況にある沖縄普天間基地の移設は重要課題です。しかし、国の強硬な進め方が沖縄の人々の感情を刺激し、沖縄と本土の歴史的な軋轢の再来とも指摘されています。極めて憂慮すべき事態です。辺野古における工事を直ちに中断すべきです。その上で、話し合いを再開し、国と沖縄県双方の信頼関係を築くことから始めなければならないと私は考えます。安倍総理の答弁を求めます。

(東日本大震災)

 間もなく東日本大震災から5年を迎えます。安倍総理の施政方針演説は、復興の明るい側面を殊更に強調したものでした。しかし、仮設住宅で寒い冬を過ごす高齢者、故郷に戻るメドが立たない家族、子どもたちへの放射線被害を心配する若い母親など、今も被災地は大きな苦しみの中にあります。総理の演説からは、そういった被災者一人ひとりへの思いが伝わってこないのです。誰一人置き去りにしない復興を目指す、そのことこそ、政治の責任だと私は考えます。安倍総理は同意されるか、答弁を求めます。

(原発新増設)

 昨年7月に決定された長期エネルギー需給見通しでは、2030年時点で電力に占める原子力発電の割合は2割とされています。これは、40年廃炉原則を前提とする限り、あり得ない数字です。民主党は、原子力発電所の新増設を行わないことを決めています。原発の新増設を認めるのか否か、エネルギー政策の根幹に関わることであり、安倍総理は国民に明確にすべきです。正直な答弁を求めます。

(安全保障法制)

 日米同盟の深化を図りつつ、「専守防衛に徹し、近くは現実的に、遠くは抑制的に、人道支援は積極的に」というのが、民主党の安全保障政策の基本的考え方です。この観点から、領域警備法の制定、周辺事態法の改正、PKO法の改正が必要と考えており、今国会にこれらの法案を提出することを決定しています。

 また、存立危機事態に集団的自衛権の行使ができるとの安倍政権の考え方は憲法違反です。憲法違反の法律の存在は認められず、安全保障関連法廃止法案を今国会に提出します。

 これらの我々の提案に真摯に耳を傾けることを求めます。未だ政府の説明に納得していない多くの国民にも説明を尽くすべきです。このため、今国会で安全保障をめぐる議論を深める機会を改めて確保しなければなりません。安倍総理は賛同されるか、答弁を求めます。

 国際平和支援法は、我が国が主体的かつ積極的に寄与する必要があるものについて、外国軍隊に対する協力支援活動を行うことができるとしています。安倍総理は、ISILに対する有志連合の空爆支持を表明する一方、自衛隊は派遣しないとしています。私も結論には賛成です。しかし、法律を成立させた安倍総理には、なぜ「主体的かつ積極的に寄与する必要がない」と判断しているのか、そして、いつまでその判断は維持されるのか、国の内外に説明する責任があります。参議院選挙後に突然方針転換する可能性も含め、安倍総理の明確な答弁を求めます。

(北朝鮮問題)

 2014年5月にストックホルム合意が成立し、政府は北朝鮮に対する独自の制裁措置を解除しました。しかし、拉致問題は何ら進展なく、その間、北朝鮮の核開発は着々と進んでいたのです。他方で、北朝鮮対応において極めて重要な中国・韓国との関係は、首脳会談もままならないほど冷え切っていました。そういう状況下で、今月6日の北朝鮮の無謀な核実験が実施されました。安倍総理、あなたは北朝鮮の核開発に対して全く無策だったのです。その自覚と反省はありますか。答弁を求めます。

(憲法改正問題)

 憲法改正について国民の皆さんに申し上げます。安倍総理は、夏の参議院選挙で、憲法改正発議に必要な3分の2以上の議席を改憲勢力で確保することを目指す考えを明らかにしました。国民の皆さんには、今、日本が大きな分岐点にあることを強く認識していただきたいと思います。

 私は、日本国憲法を時代の変化に適応させ、改正することを否定するものではありません。しかし、憲法は権力者の権力乱用から国民を守るものだという、立憲主義の基本を理解しない安倍総理のもとでの憲法改正は極めて危険です。権力者にとって都合のいいように憲法が変えられるおそれがあるからです。まず、安倍総理の立憲主義に対する認識を問いたいと思います。答弁を求めます。

 自民党の憲法改正草案では、緊急事態条項を規定しています。しかし、曖昧な要件のもと、緊急事態宣言が発せられると、内閣総理大臣に権限が集中し、法律と同一の効力を有する政令によって基本的人権を制約することが可能となります。民主主義の根幹を揺るがしかねない問題であるとの認識が、安倍総理にはあるのでしょうか。また、現行憲法で具体的に何が足りないのでしょうか。答弁を求めます。

 自民党草案は、9条を改正して、限定のない集団的自衛権の行使を認めるものです。日本自身の海外での武力行使に大きく道を開くことになります。専守防衛や海外派兵禁止という考え方もなくなり、内外の多くの人命を奪った先の大戦の反省に基づく憲法の平和主義を実質的に捨て去るものです。何のために限定のない集団的自衛権行使が必要なのか、明確な答弁を求めます。

 これらの憲法改正、いや改悪に道を開くことになるかもしれない、それがこの夏の参議院選挙です。戦後70年、日本の民主主義、立憲主義、平和主義の重大な分岐点であるという認識を、国民の皆さん一人ひとりにしっかりと持っていただきたい。

(おわりに)

 2009年夏、私たちは政権を担うことになりました。志を持って大きな課題に挑戦しましたが、国民の期待に十分に応えることはできませんでした。いろいろ足らざる点はありましたが、何よりも、日本が直面している困難に立ち向かい、説得し、乗り越えるだけの覚悟が足りなかったことを深く反省しています。

 しかし、私たちの志は不変です。根底にあるのは、一人ひとりを大切にする政治を実現したいとの強い思い、そして、何としても安倍総理の暴走を止めなければならないという危機感です。今こそ、日本が直面している多くの困難を先送りせず、正面から立ち向かう、国民に正直で真面目な政治が必要なのです。

 安倍総理、私は冒頭、安倍政治は本当の課題解決を先送りするバラマキ政治であると強調しました。同時にあなたは、戦後70年、私たちの先人たちが築いてきた基本的人権の尊重や平和主義を、深い洞察もなく変えようとしています。あなたの「挑戦」は、方向が根本的に誤っているのです。

 国民の皆さん、国民に正直で真面目な政治か、それとも安倍政治か。最終的には、国民の皆さんの選択です。しかし私は、ここで道を誤ってはならないと、声を大にして申し上げたい。皆さん一人ひとりに、次の世代に恥じない判断をしていただきたいのです。若者や女性、そして、今まで政治と距離を置いてきた人々が、危機感を持って声を挙げています。私も、覚悟を持って安倍政治と戦っていく。そのことをお約束して、私の提案並びに安倍総理に対する質問とします。

PDF「20160126施政方針演説に対する代表質問(案)岡田克也代表」20160126施政方針演説に対する代表質問(案)岡田克也代表