5日の衆院予算委員会の基本的質疑に山井和則議員が質問に立ち、(1)株価下落による年金の運用損(2)軽減税率の適用と財源(3)子ども子育ての充実(4)介護保険のサービス削減など――について安倍総理の見解をただした。

 年初からの株価急落の影響で年金積立金に7兆円もの損失可能性があると指摘したうえで、山井議員は「これは安倍政権が株価つり上げのために国民の大切な年金積立金の株式運用比率を倍増したからだ。ダボス会議や英シティで安倍総理は、年金マネーを経済成長に使うと世界に表明した。今の年金積立金の巨額損失をどう説明するのか」とただした。

 安倍総理は 「短期的なもので一喜一憂してはならない」と無責任な答弁に終始した。これに対し山井議員は「9年前、総理は『年金は大丈夫だ。不安をあおるな』と強弁したが、その結果はどうなったか。200万人、2兆円もの年金が消えた。それを民主党が回復した。このままでは『第2の消えた年金』になりかねない」と総理のいいかげんさを批判した。

 また、国民の年金積立金をこれほど危険にさらしているにもかかわらず、厚生労働省がGPIF(約135兆円を運用する世界最大の年金基金)によるインハウス運用(外部に委託しない自家運用)を検討しているとの動きに対して山井議員は「政府が直接どこの株式を買うか売るかの可能性が出てくる。安倍政権に近い企業は応援してもらえ、盾を突けば株を売られる危険性がある。このようなGPIFによる自主運用は断念すべきだ」と総理に方針転換を求めた。安倍総理は厚労省での検討を待つとの姿勢を示し、インハウス運用解禁を否定しなかった。

 

山井

 安倍総理が6千億円の軽減税率の財源確保のために社会保障費削減に意欲を示したことに対して山井議員は、小泉政権時の「聖域なき構造改革」で社会保障費が1年間2200億円、5年間1.1兆円カットされただけでも、医師不足、診療報酬引き下げ、患者のたらい回し、医療崩壊、年金の引き下げ、介護報酬の引き下げなどの大混乱を引き起こしたと指摘。軽減税率の財源確保のために医療・年金・介護・子育て支援・障害者福祉を狙い撃ちした場合、国民に甚大な影響を及ぼすと強い懸念を示した。

PDF「2016年2月5日衆院予算委 山ノ井和則議員資料」2016年2月5日衆院予算委山井和則議員資料