岡田克也代表は4日秋田県入りし、地元農家の人々と意見交換をするとともに地場産業や農産物直売所を見て回った。今夏の参院選挙に秋田県選挙区から出馬予定の松浦大悟氏、衆院秋田2区公認内定候補予定者の緑川貴士氏が同行した(写真上は、田おこしを体験する岡田代表)。
能代市では、佐々保商店製縄・筵(むしろ)工場を視察。日本古来のわら製品、神社のしめ縄やホタルイカ漁の縄作りを行い、わら魚網に関しては日本ではこの佐々保商店でしか作れないという。現在、その技術の伝承に向け後継者を育成中だ。岡田代表は、「今まで知らなかった。認識を新たにした。しっかりこの技術を守っていかなければならない」とコメント、こうした産業を後押ししていく考えを示した。
大館市では、今年創業15周年を迎え、昨年7月には株式会社化を果たした体験交流型直売所「陽気な母さんの店」を視察。同店は、公的資金からの補助を受けず、女性農業者が会員出資と販売手数料により独立採算で常設直売所を立ち上げ運営。農産物や加工品等の直売に加え食堂も開設し、リンゴや梨のもぎ取り、田植え、手打ちそば、きりたんぽ作りといった農作業や郷土料理も体験できる生産者と消費者、都市と農村の交流の場になっている。石垣一子代表取締役は「目指すのはこの取り組みを後継者につなぎ、将来にわたり安心できる農業を確立することだ」と今後の抱負を語った。
岡田代表は、同市内の水田視察ではトラクターで田おこし(収穫後や稲を植える前の乾いた田の土を掘り起こし、細かく砕く作業。田打ち)も体験した。
農家ら地元住民約50人との車座集会では、農業政策や安保法制、少子高齢加化が進む中での年金・介護といった社会保障制度のあり方など生活をめぐる不安や懸念などについての意見が出された。
集会で岡田代表は、憲法について「憲法の平和主義が変えられようとしているという大きな危機感を持っている。安倍総理が目指すのは海外での集団的自衛権の行使を限定なくできることであり、これは憲法の精神に反すると考えている」述べ、「安倍総理のこのもくろみを絶対に許してはならない。そういう意味でも参院選は非常に重要だ」とあらあためてその意義を強調。アベノミクスについては、「一部にとっては良かったかも知れないが、多くの国民にとっては円安も株高も関係なかった」と指摘。「経済政策の根本は、一人ひとりが豊かになること。そのためには経済成長だけでなくきちんとした再分配を行っていくのが政治の役割だ。残念ながら日本はこの20、30年、中間層が下に落ちていく、地方の元気がなくなっていくというのが現実だったが、これを見直していかなければならない。そのための政策をしっかりやっていく」と力を込めた。
TPP(環太平洋経済連携協定)をめぐっては、「われわれは初めから反対しているわけではないが、なぜこういう結果になったのかということについて、きちんと説明する責任がある」と主張。政府からは真っ黒の資料しか示されなかったとして、「不透明な状況でのむかのまないかというのはまったくおかしな話だ」と断じた。また、農家への対策を含めもう一度腰を据えて議論していく必要があるとの考えを明示、「今日の議論を踏まえて国会での審議などに反映していきたい」と参加者に呼び掛けた。
松浦氏は、「秋田県内をくまなく回るなか、アベノミクスで生活が良くなったという人に出会ったことがない。今日も岡田代表にいろいろな場所を視察しても
らったが、秋田の声が今の政治に届いていないと感じている。だからこそ、皆さんの声を反映できる政治をつくっていくために今度の参院選挙に向けて政治の流れを変えていかなければいけないと思っている。残り2カ月と少ないが、力を貸してほしい」と訴えた。
緑川氏は、「大館市に住んで1年半、地場の産業、伝統文化を守っていくんだという気持ちが強まっている。安倍政権では『1億総活躍社会』などと言いながら、格差を拡大、固定化しようとしている」と指摘。労働者派遣法改悪や残業代ゼロ法案、金さえ払えば不当解雇も自由化できる政策といった労働政策を一例に挙げ、「99.9%が中小企業の秋田県では大企業優先の政策では人々の暮らしは良くならない」と批判した。