「奨学金問題対策全国会議」及び「労働者福祉中央協議会」(以下「中央労福協」)が10日、「若者の未来を支える奨学金制度を考える院内集会」を国会内で開き、党を代表して長妻昭代表代行が出席した。
集会の冒頭、中央労福協の神津里季生会長があいさつに立ち、「昨年秋まで奨学金問題はそれほど取り上げられなかったが、各政党や政府から前向きなメッセージが出てきた。私たちの運動として取り組んできた甲斐があったと思う。このうねりを制度改革の実現に結び付けていきたい」と述べた。
続いて行われた各政党の奨学金政策に関するシンポジウムで長妻代表代行は、(「日本学生支援機構」の奨学金制度は現在「貸与のみ」という現実を受けて)「返済の必要のない『給付型奨学金』を断固導入すべき」と述べ、民主党政権時には「世帯年収300万以下、評定4.3以上の学生に給付型奨学金を支給することを目的に2012年度概算要求に盛り込んだが、残念ながら政権交代となり実現できなかった」と説明。さらに中長期的には「OECDの平均並み、GDP比4.7%の教育支出に向け、日本は現在3.5%であるから1%(約5兆円)増を求めたい」「高校に引き続き大学も無償にしたい」との考えを示した。
さらに「格差社会を放置し教育格差の壁を厚くし、なぜに経済成長が出来るのか憤りを覚える」としたうえで、「日本の奨学金はもはや奨学金ではなく『教育ローン』といわざるをえない。OECDの中で最低水準の教育費と最高水準の公共事業費に疑問を持つ。予算の優先順位を変えるというわれわれの取り組みを貫徹して行きたい」と述べた。
中央労福協は奨学金制度等について(1)貸与型から給付型への転換(2)貸与型の無利子化、延滞金の廃止(3)大学等の学費引き下げ及び免除の拡充――を要請。さらに文部科学省が来年4月の導入を目指す「所得連動変換型奨学金制度」についても問題が多いとして改善を求めている。
本集会には、多くの民進党議員や秘書も参加した。