加藤敏幸参院国会対策委員長は18日、定例記者会見を国会内で開いた。参院議院運営委員会筆頭理事の吉川沙織議員が同席し、昨年9月17日の参院安保法特別委員会での安全保障関連法案の強行採決時の会議録への補足掲載をめぐる問題点について報告した。
吉川議員は、安全保障関連法案が強行採決された昨年9月17日の参院安保特別委員会の会議録をめぐり、当時の委員長が職権で補足掲載した内容について、「あまりにも今までに例がなかったものが多過ぎる」として、これまで参院議運委の理事会でこれまでにこうした例があったのかを一つずつ確認し、明らかになった客観的事実に基づき4月20日の参院決算委員会で衆参の事務局に質問した――とこの間の経緯を説明。
会議録の補足掲載等に関する先例として、速記不能の箇所を会議録に補足した例の総件数 は参院26件、衆院6件で、補足掲載した最近の例は参院では2015年9月17日の平和安全特委だが、衆院では1969年7月24日の文教委までさかのぼる。このほか、「『速記を開始』したことを補足掲載した例、「『付帯決議を行った』ことを補足した例、「付帯決議の提出者や提出会派が分からない例、「付帯決議の内容が会議録上分からない例、「地方公聴会のための委員会派遣を行った場合に、派遣委員の報告が行われないまま議案の採決が行われた例はいずれも2015年9月17日平和安全特委1例のみであることが明らかになった。
衆院が1969年以降補足掲載を行っていないのは、その次に問題になった1971年11月17日の沖縄返還協定特別委員会での与野党の話し合いで「補足掲載はやめよう」ということになったものが現在まで引き継がれていることによる。吉川議員は、「参院としてもこのような初めての例をいっぱい積み上げるくらいであれば、今後は補足掲載は止めてもいいのではないかと議運委の理事会で与党に協議を申し入れている」と述べ、与党側の回答を待った上で次のアクションを起こしていくとした。
この件について加藤国対委員長は「事実をどう残していくのかが極めて大事。民進党として議運委の理事会で継続的にこの問題を取り上げてきた結果、こうして事実を提示することができた」とその意義を強調した。