枝野幸男幹事長は22日午後、7月から全国で上映されている映画「太陽の蓋」を東京都内の映画館で福山哲郎幹事長代理と鑑賞するとともに、舞台あいさつを行った。
同映画は2011年3月11日に発生した東日本大震災の発災から5日間、首相官邸がどう動いたのか、福島第1原発の現場、東電本社、福島の人々、国民など、それぞれの5日間を多角的に捉え、首相官邸では文字通り未曽有の震災対応に菅内閣の政治家らが苦悩しながら全力で当たっている姿を実名で描いている。
枝野幹事長は感想を問われ、「これがゴジラのように完全なフィクションだったら非常にいい時間だったという思いだ。フィクションではない部分と映画としての部分とが全部重なり合ってしまうものだから、その重さと、エンターテインメントとしての映画として非常にいい作品に作られているなという思いが相混じった、正直複雑な思いで見させてもらった」と言葉を選びながら語った。
福山幹事長代理も「あの場面はどうだった、こうだったと、その場に戻る思いだ。その場でどんな気持ちだったか、どんなふうに意思決定したかという思いが戻る。官邸以外の部分についてぼくらは見えていないわけなので、よく取材をされていて、避難されている方がどういう気持ちでいらっしゃったのか、映画のなかでわれわれが考えていたことが映像となっていて、ぐっと深く思うところがあった」と述べた。
東日本大震災の発災から5年たった今思うところを問われた枝野幹事長は、「もちろん忘れてはいないのだが、こういう場であらためて伝えていただき、再認識させてもらうことが大事だと思った。なぜなら原子力緊急災害宣言は継続している状況で、終わっているわけではない。水がもし万が一にも止まれば、3.11直後の状況に戻るということをわれわれはもちろんだが、日本としても忘れてはいけないことだと感じながら見させていただいた」「また、避難されている人たちがどういう状況にあるのかということは私も福山さんも想像力を相当膨らませながら仕事をさせていただいたつもりだが、それでもたいへんな状況だろうと思いながらやっていた。しかし、後で指摘も受けたが福島第1原発で働いていた地元の現場の皆さんの状況は、正直言って最初の1カ月はまったく頭になかった。何とか止める、そして避難されている皆さんを何とかしなくてはというところしかなかった。そういう状況のなかで、おそらくわれわれも、そして多くの皆さんもまだ見えていないことがたくさんあるのではないかということを(原子力緊急災害宣言が)終わっていないだけに、あらためて常に見ていくことが大事だと思った」と語った。
「いろいろな人に見ていただきたい。忘れないで、3.11の原発事故について、あのときに感じたことを思い出して、あらためて、あのときには気づかなかったこと、伝わっていなかったことを、この映画はきちんと皆さんにもう一度考えていただくきっかけになるのではないかと思う」と述べた。