党台風等災害対策本部(本部長・枝野幸男幹事長)は6日午後、国会内で第1回会議を開催。台風10号により甚大な被害が出た岩手県、北海道をはじめ、8月下旬から発生した台風7、9、10、11号による各地の被害状況と政府の対応について関係府省庁からの説明や被災県連からの視察報告などを受け、今後の取り組み課題に関して意見を交わした。
本部長の枝野幹事長はあいさつのなかで5日の岩手県下閉伊郡岩泉町での視察に触れ、「何カ所も道路が寸断され、すぐそばのところに行くのに非常に遠回りをしなければいけないという状況だった。北海道も道路や鉄道が寸断されている状況であり、何をするに当たってもそこが動かないと前に進んで行かないので、国土交通省を中心に迅速に動脈の回復を進めていただきたい。秋の雨、台風のシーズンは始まったばかりであり、また新しい台風が最悪の場合日本列島を縦断するようなこともあり、二次災害等がないような形で対応に当たっていただきたい。被害が長期化しかねない状況であり、被災者のメンタルの面も含めた対応をお願いしたい」と政府に求めた。
4日に北海道河西郡芽室町と川上郡新得町、5日に空知郡南富良野町を訪れた山尾志桜里政務調査会長は、「特に印象的だったのは、北海道を台風が直撃するというのは、現地の方にとっても非常にショッキング、予想外のことだということ。現地の皆さんからは『前提状況が変わっており、現状回復を超える復興に向けて後押しをしてもらいたい』という話をもらった」と述べ、新得町ではJRの橋梁が完全に壊れ再開のめどが立っていないこと、各地での道路の寸断により物流の流れが相当に悪くなっていること、南富良野町では雇用をはじめ地域の根幹をなしている大きな会社がやられ、給食センターも土砂でやられ学校給食の再開のめどが立っていないことなど、予想以上の甚大な被害状況だったと報告。「再開のめどが立たないなか大きな支援をしてほしいという声があった。しっかりと現場の皆さんの声を踏まえて、提言、要望をしていきたい」と力を込めた。
気象状況や人的・物的被害状況、避難状況、ライフラインの状況、交通状況、農林水産関係被害の概要やこれらの被害に対する政府の対応状況等について内閣府、国土交通省、気象庁、農林水産省、厚生労働省、経済産業省、厚生労働省の担当者がそれぞれ説明。続いて佐々木隆博、階猛両衆院議員が北海道連、岩手県連の代表として現地視察を踏まえての政府への要望を挙げた。北海道連は、今回の台風被害に関わる中間要望として(1)激甚災害法の指定をすること(2)生活インフラ(電気・水道・道路・鉄道等)の早期復旧に努めること(3)河川の浚渫(しゅんせつ)と河畔木の整備を図ること(4)河川管理者・ダム管理者等の常設協議体を設置すること(5)次年度営農に備えるため、農地の早期復旧・復興を図ること(6)農業被害に伴う農業共済の早期適用と柔軟対応を図ること(全相殺・半相殺)(7)流木処理の費用を支援すること(8)被害復旧にとどまらず、グレードアップした災害復興とし、今回の被害を教訓とした防災対策を講ずること(9)災害復興の際には、地元自治体や地域住民の要望を聞き、十分に反映させること――の9項目を列挙。岩手県連は、各地で道路が寸断しているとして、迅速な復旧とともに激甚災害の早期指定を要望。商店の営業再開が難しい状況であることから、東日本大震災の時のようなグループ補助金の適用を求めるとともに、今後あらためて要望をまとめるとした。
このほか出席議員からは、「日頃雨が少ない地域では予想雨量350ミリと言われても実感が湧きにくい。情報の出し方を工夫してもらえないか」「JR北海道については相当大変な経営状態が予想される。鉄道に完結せずにさまざまなインフラと総合して負担を減らす努力を積極的にやってもらいたい」「水産関係もかなりの被害が出ている。しっかり注視して迅速な対応をお願いしたい」といった意見が出された。政府としては現地調査の結果を踏まえ対応していく考えを示した。
特に状況に大きな変化がなければ次回会議までに各県連からの要望書をまとめて提出し、次回会議で政府に回答を求めていく。
会議には、泉健太、郡和子、松木けんこう各衆院議員、相原久美子、小川勝也、那谷屋正義各参院議員が出席。松原仁ネクスト防災担当大臣が司会を務めた。