民進党代表選挙の東北ブロック候補者集会が9日、仙台市宮城野区内で開かれた。蓮舫、前原誠司、玉木雄一郎の3候補は仙台サンプラザに集まった約400人の参加者や取材陣を前にそれぞれの政見を語り、相互に質問。「消費税」と「地域活性化」をテーマに取り上げたゲストスピーカーの提言や会場からの質問にも答えた。候補者集会に先立ち同市青葉区内の街頭で演説し、市民にも広く支持を訴えた。
ゲストスピーカーの深田一弥税理士は、2019年10月の消費税率の引き上げ時に導入される軽減税率制度について「低所得者対策にはならない。地方税の課税所得が決まる毎年5月に低所得者に年間1万2千円程度の商品券を配ればいい」として廃止を求め、21年4月から導入される消費税の仕入れ税額控除のためのインボイス制度についても「帳簿方式で十分で、インボイス制度ではインボイスを発行できない免税事業者が取引から排除される」として反対するよう求めた。
震災復興支援活動を行う一般社団法人・みやぎ連携復興センター代表理事の木村正樹氏は、「震災復興が終わったあとも被災地の地域再生や地域の活性化の取り組みを進められるように、民間公益活動に国からの資金を流してほしい」と述べ、現在国会で検討されている休眠預金活用法案について、資金が地域の中で活用できるように支給要件をあまり厳しくしないでほしいと注文を付けた。
玉木候補は、深田氏の提言に「おっしゃる通り。軽減税率を導入しようとすると本来入ってくるお金が1兆円飛んでしまう。それが年収300万円以下の方には10%しか使われない。それ以外はもっと高額の人に使われる。見かけ倒しのうそっぱちで、絶対に入れるべきではない。インボイス制度を入れたら中小企業はつぶれる。インボイスを発行できない免税業者は取引から排除される。(低所得者対策は)給付措置でやるべきだ」と賛同。木村氏の提言には「賛成する。認定NPOへの寄付税制の拡充に取り組んできて、今は50%が税額控除される。休眠口座も議論しており、要件が厳しい点は少し見直したい。NPOに出す公的なお金が人件費に使いにくいことも問題で、要件を緩和して真に民間活動が行いやすいようにしっかり応援していきたい」などと表明した。
蓮舫候補は、深田氏の提言に「全面賛成。軽減税率は耳触りはいいが、そのために税率を11%にしなくてはならなくなるし、軽減額の7割は低所得者以外にいくので、なぜやらなければならないか理解できない。反対だ。手間はかかるが、所得に応じて払いすぎた消費税が戻ってくる仕組みにすべきだ。前向きに議論させていただきたい」などと応じた。木村氏の提言には「『新しい公共』は私たちがやったこと。国の手が届かず企業もやらない民間の活動をしっかり支えるためにお金を流す仕組みが必要だ。休眠預金活用法案は旧民主党政権時に提案したときは自民は大反対だったが、今は自民が提出すると言っている。議論のテーブルに乗ろうと思うが、なるべく行政手続を複雑にせずに直接皆さん方の活動にお金が流れる仕組みを考えたい」と答えた。
前原候補は、深田氏の提言に「軽減税率廃止は全く大賛成。これはお金持ちほど有利になるもの。一定の所得以下の人々に何らかの形でダイレクトにやるほうがよほど逆進性対策になる。私も予算委員会で安倍総理と議論したが、最終的に安倍総理が言ったのは、『公明党と約束したから』。何のロジカルな答弁もなかった」と答えた。木村氏の提言には、「問題意識はまったく共有している。国の復興庁の予算の使い勝手の悪さ。休眠口座の活用は、民主党政権の最後に国家戦略担当大臣として法案のスキームを作った。まだまだ使い勝手が悪いということであれば、現場の皆さんの声を聞きながら仕組みを変えていく努力をする。NPOに対する寄付税制の拡充は取り組んできたが、さらなる取り組みが必要だと思っている。今の3つの点は必ず取り組む」と約束した。