福島伸享衆院議員は4日、衆院予算委員会での第2次補正予算の集中審議に民進党4番手として質疑に立った。福島議員は、9月30日の同委員会での質疑に引き続き、輸入米の売買同時入札(SBS)の価格偽装問題とTPPの承認について取り上げ、政府を追及した。
福島議員は、輸入業者から卸売業者に対して調整金が払われることによって、輸入米が政府の公定価格よりも安く市場で取引されているこの問題の調査について、山本有二農林水産大臣のこれまでの答弁をまとめてほしいと求めた。山本大臣は「コメの価格は品質と需給で定まっている。仮に調整金があっても国内価格に影響するとは今も思っていない。正確性を期すために輸入業者や卸売業者へのヒアリング、調整金の授受があるのか、その趣旨、各種データの分析、検討、調査をしている。今週中にこの結果を出したい」と答弁した。福島議員が「経済学的・統計的な科学的分析は行っているのか」と問うと、農水省の政策統括官が「(分析は)担当部局で行っている」と答弁。福島議員は、この答弁をした政策統括官について、農水省で調整金の存在が発覚した時の担当者であることを指摘し、調査対象であるべき人が調査をして公正な結果が出ると思うか。こういう調査は第三者に委ねるべき。調査の結果で、実際より(輸入米の市場での取引価格が)安かったら、TPPの評価もし直さなければいけない」と調査を公正なものにすべきと訴えた。
また、福島議員がSBSの予定価格を誰がどのように作っているのかを問うと、農水省の政策統括官は「SBSの売り渡し価格の水準は非公表、買い入れ価格については、為替、国際価格、品質などを考慮して公表している」と答弁。売り渡し価格を公表しない根拠を問うと「実務上の要領で示している」と法令では決めていないことを農水省は明らかにした。福島議員は「基本的な情報すら公表していない。事後的にも公表しない。調査も内部でする。その姿勢が国民に大きな不安をかきたてる」と政府の姿勢を批判した。
最後に福島議員は、「なぜ日本がTPPを先に批准すれば米国も批准するのか。米国のライアン下院議長もマコネル上院院内総務も『今採決すれば否決される』『年内に批准はない』と言っている」と安倍総理にただした。これに対して安倍総理は「まさにアジア太平洋地域に4割の経済圏をつくっていくTPPを日本が批准し、豪州やニュージ―ランドも批准していけば、米国だけ遅れるわけにいかず、RCEPもあるなかで、米国も入らねばと思う。そうした環境を醸成するモメンタムをつくる役割を担うべき」と答弁した。福島議員は「そうは思わない。なぜ米国議会が反対するかというと、今のTPPが彼らの利益にならないから。私は今のTPPが日本の利益になるとは思っていない。アメリカも日本がやるからやろうという話ではないと思う。コメの問題も明らかにせず、試算も変えず、不透明のまま審議はできないし、強行採決すべきでない」と現状でのTPP批准を疑問視して質疑を終えた。