衆院TPP特別委員会の集中審議が27日午後開かれ、福島伸享議員が民進党2番手として質疑に立ち、SBS米の価格偽装問題について質問した。
福島議員は、「SBS米の問題について、私の地元ではこれまでの山本農水大臣の答弁に皆怒っている。何とか言い逃れをすれば国民は納得すると、大臣はこの問題を軽く見ていないか。そもそもSBS米の価格偽装の調査の目的は、国民に不安があればそれを払拭するためだと言ってきた。これまでの国会の答弁や報道等を通じて、国民の不安や不満はむしろ高まっている」「参考人質疑で鈴木宣弘参考人は、この農水省の調査が卒論だとすれば不可だと言っている。やり直さなければ卒業は出来ない。卒業とはまさに法案採決のことだ」と指摘した。
福島議員はさらに、「仮に調整金があって、実際に輸入米の値段が政府が公表している価格よりも2、3割安いとしたら、3400億円マイナスになる。また農水省は、必要な対策を打つからコメの生産量を落とさないと言っているが対策費は1兆円かかる。TPP審議の大前提を崩すことになりかねない問題だ。だからこそ今回の調査が大事になる」などと述べた上で、「肝心の輸入米の売り渡し価格について、一体何社に調査したのか」と厳しく追及したが、山本大臣は、「公表しないことを前提に値段を聞き、開示してもらったところもあるが、報告してもらえなかったところもある」「抽象的なもので、詳細かつ公表を前提とした回答を得られなかった」など、明確な答弁は得られなかった。
福島議員が聞き方を変えて、「つまりは調査しなかったということか」と質問したところ、山本大臣は、「上位5社に聞いて、販売価格まで聞きとることが出来たのは2社だ」とのみ答えるだけで、何社に聞き取り調査をしたのかさえ答えなかった。
福島議員は、今回の調査のやり方にも言及し、「農水省に文書管理規則がある。職員は農水省における経緯も含めた、意思決定に至る過程並びに事務、事業の実績を合理的に検証できるように文書を作成しなければならないとなっている。今回の調査を指示した調査仕様書があるはずだ」として、公表するように要求したが、山本大臣は、「統一的な質問票や仕様書はない」「職員がヒアリングで書き取ったメモ以外ない。このメモは行政文書に該当しない」などと述べ、公表を拒否した。
福島議員は、「全くめちゃくちゃな答弁だ。この議論を通じて明らかになったことは、あまりにずさんな調査で、一定の結論を導くためにうそをついているとしか思えない」と、政府の姿勢を批判した。