野田佳彦幹事長は6日、岐阜市を訪れ、吉田りえ岐阜1区総支部長とともに「野田幹事長を囲む岐阜ユース&レディースの会」と「吉田りえ総支部長の支援者との車座集会」に出席し、「解散風が吹いている。やんだりもして、よく分からない状況だが、衆院は常在戦場。吉田さんの支援に向けて一致団結を」と、吉田総支部長へのさらなる後押しを呼びかけた。

 「野田幹事長を囲む岐阜ユース&レディースの会」の冒頭で吉田総支部長は「2年前に岐阜に来て、地区をまわり、いろんな方々に出会ってきた。そのなかで女性や若者の声がなかなか政治に反映されていないという声をよく聞かせていただく。そこでそうした皆さま方の声を伝える会を開催したいと野田幹事長にお願いしたところ、快諾いただいて本日の会になった。忌憚(きたん)のない意見を野田幹事長にぶつけてほしい」と参加者に求めた。

野田佳彦幹事長

野田佳彦幹事長

 大きな拍手で迎えられた野田幹事長は冒頭のあいさつで、「女性がたくさんいらして少し緊張する」と笑顔で語ったうえで「女性の笑顔が広がる世の中は男性にとっても幸せな世の中だと思う。女性の笑顔が広がる世の中とは戦争のない平和の世の中であると同時に、老後や子育ての不安をなくしていくことだと思う。また女性陣が存分に、希望をもって社会の中で働いたり、活動ができる世の中であるべきだと思う。そういう世の中をつくるためにわれわれ民進党はがんばっていく」と語った。

 また、「民進党は蓮舫代表になったので、どんどん女性の候補者を出し、その皆さんが当選して党の運営にも役員として女性の皆さんが関わる党にしたいと思っている。ジェンダーギャップ指数は世界で111位という悲惨な数字だ。この悲惨な状況を変えていくためにも、民進党からも変えていかなければならない。その意味でもぜひ吉田さんに絶大な支援を」と、衆院議員として党を支える一員に押し上げてほしいと呼びかけた。

参加者からは次々に手が上がり質問が出された

参加者からは次々に手が上がり質問が出された

 質疑応答では(1)吉田総支部長は地域で頑張っている。当選に向けて党本部としても格段の支援をしてほしい(2)消えた年金問題以来続く年金の不安は解消されたのか。年金についての民進党の考え方は(3)若者の政治参加を民進党はどう後押ししていくのか(4)起業への支援をどう考えるか(5)子どもの貧困問題への対応(6)食文化や農業を守ることの重要性(7)高齢化する地域への取り組み(8)野党連携(9)子どもの虐待への対応(10)事業者の従業員の保険料負担の問題――等、多岐にわたる質問や発言があり、野田幹事長が民進党政策の方向性や自身の考えを語った。

■年金の問題について

 「2007年第1次安倍政権のときに消えた年金問題を長妻昭衆院議員らが指摘し、その後民主党政権となり、記録の解明に取り組み、消えた年金5千万件のうち3千万件を見つけ、金額で2兆6千億円が消えた年金だとあきらめていた皆さんに支払われることになった。これはわれわれの実績だと思う。そして今、厚生年金や国民年金など積み立てられた年金が135兆円あるなか、これまでの政府は安定した資産に運用してきたが、安倍政権は14年10月から年金積立金の半分を株に投資するようになり、株の下落に直面して15年度で5兆3千億円の損を出し、16年度に入って4月から6月でも5兆円の損を出した。つまり1年3カ月で10兆円を超える損を出した」と、巨額の損失を出した安倍政権による年金積立金運用実態について説明。「われわれはそうした上がり下がりする株への運用ではなく、安定した運用を行うよう転換を求めている」と民進党の立ち位置を語った。

 臨時国会に安倍政権が提出している年金カット法案についても取り上げ、「今までは物価と連動する形で年金の上げ下げは行われていたが、このたびの法案は物価が上がっても賃金が下がったら年金はカットできるというもの。これでは年金生活者にとっては不安が広がるばかりだ」と解説。「民進党は老後の不安をなくしていくことが一番大事だと思っているので、この問題もしっかり議論していく」と述べ、やみくもに年金受給額を減らす方向に進む安倍政権と対決する考えを示した。

■若者の政治参加について

 若者の声を政治に反映するため被選挙権年齢の引き下げについても検討を重ねている状況だと報告するとともに、「若い人がもっと政治に参加しないと残念ながら若者たちが損をすることになりかねない。アベノミクスの特徴は金融緩和だが、じゃぶじゃぶの金融緩和は物価を上げるため(に行っている)。物価が上がることを予想すると将来物価が上がるのであれば急いで買わないといけないということで消費が進み経済が良くなるという理論なのだが、将来の需要の先食いと言える。この金融緩和だけでは行き詰まってきたから、今回の国会では国債を発行して将来世代に借金をして大型の補正予算を組んだ。将来の需要から先食いして、将来の世代から前借しているのがアベノミクスの特徴。つまり若い世代が損をする政治と言える。だからアベノミクスにはノーと若者は言ってほしい。アベノミクスは未来に対して無責任だ」と指摘した。そのうえで、「民進党の理念は自由、共生、未来への責任。この未来への責任を考えたとき、本来私たちは若者に一番向き合っている政党だと自負しているが、まだよく理解されていない。しかし未来への責任を持とうという政党なので、それを実現する政策で若者たちと向き合っていく」と語った。

■子どもの貧困問題について

 「アメリカ、中国に次ぐ世界3番目の経済大国だが、ご飯を満足に食べられない子どもがいる。格差拡大の一番の悪影響が子どもに出てきている。これを何とかしようというのがわれわれの一番の問題意識でもある。民主党政権時代、高等学校の授業料の無償化や子ども手当など、子どもたちの育ちや学びを社会でサポートすることをやってきたが、その一環のなかで公立学校の給食費の無償化ができるかどうか大いに検討したいと思う」「幼児教育から大学まで全般的に教育をできるだけ無償化して保護者の負担を減らしていく政策体系をつくっていきたい」と表明した。

■子どもの虐待やDVの問題について

 吉田総支部長は「子どもへの虐待やDVなど女性特有の問題について話を聞くが、ぜひ私にも相談してほしい」とし、隣近所など地域のつながりや連携の重要性に言及。学校や児童相談所、自治体の連携の強化が重要だと述べた。また、「私自身子ども3人を育ててくるなか、DV被害者としてメンタル的にダメージを受け、自分に自信が持てないでいた。しかし岐阜に来て、いろいろな方に会って、助けていただいて、ここまで明るく生きることができるようになった。すべて岐阜の皆さんのおかげ。ぜひさまざまな問題を共有しながら、お互いに支え合って頑張っていこう」と感謝とともに呼びかけた。

会の最後には参加者全員で記念撮影した

会の最後には吉田総支部長の力強い後押しを誓って参加者全員でガッツポーズで記念撮影した

■ぶらさがり

 会の終了後、野田幹事長は記者団の取材に応じ、意見交換の印象について「さまざまな声を聞くことができて良かった。吉田さんがいい支援者の方に囲まれているということを実感することができた」と語った。

 また、今後も各地を回るのかと問われ、チャンスがあればどんどん蓮舫代表と手分けして各地を回っていく考えを示し、「(各地での取り組みに関して)個別のチェックをしながら候補者を鼓舞して、もっと強くする。そしてわれわれが後押しとして何ができるかを持ち帰って考える。そうしたことを精力的にやっていく」と述べた。