蓮舫代表は7日午後、代表就任後、また現在開会中の臨時国会で初めてとなる党首討論に臨み、安倍政権と自民党が強引に押し進めようとしている「カジノ法案」、民進党など野党が過労死を防ぐために国会に提出した「長時間労働規制法案」等に対する安倍総理の認識をただした。
「止めたいのにやめられない。家中のカネを持ち出す。ヤミ金融で借金を繰り返す。多重債務、一家離散、破産果ては自殺に追い込まれる」とギャンブル依存症の怖さから切り出した蓮舫代表は、その治療法が確立されておらず、日本には推計536万人のギャンブル依存症を疑われる患者がいると指摘。さらに「カジノは賭博であり刑法で禁止されている。勤労を怠り、副次的犯罪を誘発する。だから禁止をしている。それなのになぜ衆院で5時間33分の審議で強行採決に踏み切ったのか」と暴走する安倍総理と自民党の姿勢を追及した。
これに対して安倍総理は、「蓮舫議員が挙げた懸念があるのは事実。自民党でも公明党でも指摘されている」とギャンブル依存症が様々な問題を引き起こしている事実を認めたものの、国会審議で野党の疑問を切り捨て、連立与党の公明党を捨て置いてまで強引に押し進めようとする理由については全く答弁せず、「議員立法だからもっぱら国会で決めること」と自らの責任を回避する姿勢に終始した。
蓮舫代表は、2014年にシンガポールのカジノ施設を視察した安倍総理が「成長戦略の大きな目玉になる。議員立法だけれども臨時国会で成立させたい」と強い意欲を示したことに関連して「(総理が言うように)カジノ施設の面積は3%で、それ以外は国際会議場やホテル、レストラン等の商業施設だが、総施設の売り上げの7割から9割はわずか3%の面積のカジノが生みだし、カジノ以外の施設が衰退しているという事例が諸外国で報告されている」と指摘し、これで成長産業なのかと総理の見解を求めた。
安倍総理は、「法案の中身は委員会で議論いただきたい。これは議員立法であるから(私は)説明をする責任を負っていない。法案提案者にしっかり質問してもらいたい」などとまたもや質問に真正面から答えなかったため、蓮舫代表は「聞いても答えない力、逃げる力、ごまかす力はまさに神っている」と総理の責任を回避する姿勢を厳しく批判した。そのうえで法案に対する民進党の態度について「公明党議員の1人も『亡国の法案』と批判している。私はこんな拙速な審議でカジノを解禁することに反対だ」と表明した。
続いて蓮舫代表は、過労死問題について安倍政権の消極的な姿勢をただした。「過労死認定の長時間労働は、80時間超だが、電通社員だった高橋さんは140時間を超えていた。1週間で10時間しか寝ていなかった。『死にたい』とSNSで発信した後に自殺した。愛する者を失うつらさに私たち政治家は向き合うべきだ。働き方改革に大賛成だが、なぜ(政府から)法案がいつまで経っても出てこないのか」と指摘。民進党が今国会に提出した「長時間労働規制法案」が成立すれば過労死等の悲惨な事件を止めることができると力を込めて語り、国会での審議入りに協力するよう求めた。しかし安倍総理は「審議入りさせるかどうかは国会が決めること」と問題解決に意欲を示さなかった。