衆院予算委員会で3日、2017年度予算に関する3日目の基本的質疑が開かれ、大串博志政務調査会長が(1)公的年金での米インフラ投資(2)マティス国防長官来日(3)働き方改革――等について安倍総理らの認識をただした。
大串政調会長は、2月10日の日米首脳会談で安倍総理から、公的年金での米国のインフラ事業投資をはじめ、世界でのインフラ投資、ロボットと人工知能、サイバー宇宙空間等で51兆円規模の経済協力を提案するとの報道を受け、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が行うインフラや不動産を対象とするオルタナティブ投資(株や債券などの伝統的な投資対象以外の資産に対する投資)に関連して「公的年金140兆円をオルタナティブ投資にいくら投資でき、いまいくら投資しているのか。米国のインフラに投資できるのか」と高橋理事長に事実確認した。
高橋理事長は、GPIFが行っているオルタナティブ投資のうち、インフラに関する投資は投資信託のスキームを活用し、2015年度末の時価総額は814億円、収益額は6億円だとしたうえで、「全体の5%を認められているので、7兆円前後の投資が可能である」「想定している投資対象は、欧米先進国が中心であることから、米国へのインフラ投資はあり得る」などと答えた。
GPIF理事長の答弁から年金積立金140兆円のうち約7兆円が米国等へのインフラ投資が可能であることが明らかになったことから大串政調会長は、「2月10日のトランプ大統領との面会時、日本として51兆円規模の市場を作る貢献を行うことを表明するという報道の通りではないか。まさに私たちの公的年金を使ってトランプ大統領にお土産を持っていくようなものだ」などと指摘し、安倍総理に公的年金を米インフラ投資に利用しないよう強く求めた。安倍総理は「指摘を受けたようなことは全く検討していない。GPIFは独立して運用しているから政府が指図できるものではない」と述べ、報道内容を否定した。