衆院予算委員会で14日行われた外交・通商政策等の集中審議で、後藤祐一議員は国連平和維持活動(PKO)で南スーダンに派遣されている自衛隊の日報に関して稲田防衛大臣らに質問した。
後藤議員は、南スーダン派遣部隊の2016年7月7日から12日までの日報に基づき、首都ジュバで戦闘が起き、多くのけが人が出ていたのではないかと問題視。「7月7日11人、8日7人、9日2人、10日資料なし、11日ゼロ、12日7人の患者が受診した」との記録を取り上げ、「戦闘、あるいは戦闘に近い状況のなかで、自衛隊員はけがをしたのではないか」として何を理由とした受診かの確認を求めた。稲田大臣は「この期間に武力衝突で負傷した隊員はいない」と答弁した。
この答弁に後藤議員は、稲田大臣が日報の黒塗りの中身を実際に見たのか、派遣隊員約350人の中で医療行為を受けた隊員が次々に出たことに関して、前後の時期と比べてこの7月の時期だけ受診者が増えていないかを確認したかと尋ねた。黒塗りの中身を見たかどうかについて稲田防衛大臣は「そのものは見ていない」などと述べ、事実確認もせずに根拠なく「武力衝突で負傷した隊員はいない」と断言したことが露呈した。
後藤議員はまた「防衛大臣報告資料と部隊日報との比較」(上図)を提示して、「戦闘」と記録された日報での記述が大臣への報告では「衝突事実」「激しい爆発音」などと書き換えられていることに着目。「日報では戦闘があったとしているのに大臣報告書では全部消えてしまっている」と指摘した。統合幕僚長が9日の記者会見で、日報の表現に注意し「大規模衝突」などに置き換えるよう指導したことにも言及し、「今までは一般的な意味での戦闘があったのかどうか、素直に分かりやすい日報を書いていた。現場の自衛官は弾が飛び交うなかで命がけのレポートを本国にしてきている。『戦闘』という言葉が『衝突』などに置き換わってしまうと、真実がどんどんゆがめられて、生の事実がまさに隠ぺいされる」と述べ、PKO参加5原則に言う法的意味での戦闘行為でなければ「戦闘」という表記を使わないとの防衛省の指示を問題視した。