衆院予算委員会で17日午前、安倍内閣の基本姿勢・社会保障等に関する集中審議が行われ、民進党の一番手として質問に立った長妻昭議員は、(1)天下り(2)長時間労働への対策(3)裁量労働制の拡大――等の問題について安倍総理をはじめ関係大臣にただした。
長妻議員は冒頭、「天下りの問題は予算委員会でも相当議論した。不要な天下り問題がいろいろあることが判明した」と述べ、天下りを受け入れている公益法人等に、現在審議している2017年度政府予算からいくら支出されるか、金額と団体数の提示を麻生財務大臣に求めた。公益法人への補助金の支出総額は2987億円で、天下り先への支出は2183億円、団体数は78だとの麻生大臣の答弁を受け、長妻議員は「相当精査が必要」との認識を示した。今回、文部科学省の天下り問題が顕在化した結果、同省OBの天下り先であった公益財団法人文教協会が解散を決定したことを踏まえて、「そこに流れる予算が不要になる」と指摘。麻生大臣が答弁した補助金支出先の天下り78公益法人等に2183億円の国家予算が流れるのは「いびつな構造だ」と問題視し、天下りの全容解明を予算の採決までに行うべきだと安倍総理に求めた。しかし安倍総理は、「しっかりと調査し、調査が整い次第委員会に報告する。期限ありきということではない」と従来通りの逃げの答弁を繰り返した。「総理が出すと決めて指示すれば役所は動く」と長妻議員が重ねて求めたが、予算採決前の調査結果の提出にはかたくなに応じない姿勢を示した。
長妻議員は働き方改革も取り上げ、「多様な働き方というのは耳触りのいい言葉で誰も異論はない。ところが多様な働き方といったとき、労働法制を緩くする、規制緩和になっていく。これまでなぜ労働法制は自由な取り引きをしてこなかったかというと、過度に自由にすると健康や精神にも支障をきたす。また使用者と労働者の力関係は歴然として使用者が強いので、どんどん労働法制を緩和して行くと、結局は働く人に不利になる」と指摘。そうした視点から政府提出の労働基準法改正案を見ると、「裁量労働制を広げていく法案で、大変問題」だと述べた。裁量労働制は現在も73万人が適用されているが、みなし労働時間を8時間と定め、裁量で労働時間の短縮を可能とし深夜や休日勤務には割増賃金を払うことになっているが、時間管理がずさんで割増賃金が払われているのかが疑わしいケースが多いのが実態だと長妻議員は説明。「これではどんどん長時間労働が増えていく。ブラック企業合法化法案になりかねない」と指摘し、法案の撤回を求めた。