斎藤嘉隆議員

 参院決算委員会で28日、2015年度決算について全閣僚が出席しての全般質疑が行われ、斎藤嘉隆議員は(1)学校法人「森友学園」問題(2)学校法人「加計学園」問題――を取り上げ、政府の見解をただした。

 「森友学園」問題をめぐっては特に、23日の証人喚問での籠池氏の証言のうち安倍総理夫人の昭恵氏への講演料10万円と、昭恵氏から「安倍晋三からです」と渡された寄付100万円の授受に言及。昭恵氏がメールで授受について「記憶がない」としていることを理由に籠池氏の証言は「虚偽」との認識を示す安倍総理、菅官房長官に対し、斎藤議員は「籠池氏の証言を否定する以上は明確に説明する根拠が必要」だと求めた。菅官房長官は「『ない』ということだから『ない』。行っていないものを証明するのは難しい。だから『ない』」などと強弁した。

 斎藤議員は籠池氏の証言は証人喚問であることから、「国会としては少なくとも証人喚問で証人によって語られた内容は、基本的に事実としてとらえたうえでさまざま検討が必要なのではないか。それとも議院証言法に基づき告発するということか」と迫ると、菅官房長官は「事実と違ったらそのようになる。客観的な内容について今私どもで精査している」と答えるにとどまった。

斎藤議員

 斎藤議員が次に取り上げたのは、安倍総理が「腹心の友」と呼ぶ人物が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)が、政府の国家戦略特区制度を使って大学の獣医学部を新設する問題。国家戦略特別区域諮問会議(安倍総理が議長)は2015年12月に「広島県と今治市」を特区に認定、16年11月にはこれまで獣医師の数が増えすぎると質の確保が保てなくなる懸念などを背景に過去50年以上認められてこなかった獣医学部の新設を容認する規制緩和策を決め、今治市が所有する約36億円の土地が学園側に無償譲渡された。

 安倍総理は「私立大学等の設置にあたり地方自治体から土地の無償譲渡を受けることはまったく珍しいことではない。いずれのプロセスも関係法令に基づき適切に実施している」と開き直ったが、斎藤議員は、過去に新潟や関西圏など2区域から提案があるなかで今治市が選択された理由があいまいであることや、16年11月に唐突に新設地域を「空白地に限る」との方針を示したことを問題視。今治市に新設を決めた最も大きな選択理由として、山本内閣府特命担当大臣(地方創生、規制改革)は「一番熟度の高い計画」であったことを挙げたが、斎藤議員は素人目ながら内閣府のウェブサイトを見る限り京都産業大学の設置構想の方が熟度は高いのではないかと指摘した。同大学は、昨年11月に国家戦略特別区域諮問会議(安倍首相が議長)が「獣医師養成の空白地域に限る」という方針を示したことで断念せざるを得なくなったとして、この方針変更の理由を質問。山本大臣は「もともと日本再興戦略のなかで地域的偏在があるところに限るとなっている。農水省、文科省と議論していく中で産業動物獣医師関係について地域的な偏在があるとの話があったことから、地域に注目した空白地域で考えていくことになった」などと説明したが、到底納得は得られなかった。