衆院法務委員会で19日、階猛議員が共謀罪法案(組織犯罪処罰法改正案)に関して金田法務大臣に質問した。
冒頭に階議員は委員長に対し、「今回のように職権で政府参考人の出席を決めた事例は過去にない。衆院規則にもないと聞いている。こういうあり方は極めて問題だ」と指摘し、委員会運営に対し強く抗議した。同委員会質疑では質疑者が要求していないにもかかわらず、法務省刑事局長を招致して答弁させるべきだと与党側が主張し、委員会冒頭で局長の出席を採決で決める形で質疑がスタートし、この点を階議員は問題視した。
階議員は憲法63条の「答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない」との定めに基づき金田大臣に答弁を求めているにも関わらず、大臣自身が答弁しないで刑事局長に答弁させようとする金田大臣の姿勢を「職責放棄だ」と厳しく抗議し、法務省刑事局長の政府参考人招致を多数決で押し切った与党の委員会運営に異議を申し立てた。
共謀罪法案について階議員はまず、「従来の共謀罪法案で問題となった内容を改善したのか」と金田大臣に質問。金田大臣は「今回の法案では対象となる団体を明文で組織的犯罪集団に限定することによって、一般の会社や市民団体、労働組合などの正当な活動を行っている団体が対象となることはあり得ないことを明確にした」などと述べ、犯罪の主体、その対象犯罪、処罰対象となる行為を法文上明確に限定した旨を語った。
従来の共謀罪の法案にはなかった、犯罪の主体を「組織的犯罪集団」とする概念が今回の法案で定められたことに関して、17日の決算行政監視委員会の質疑で安倍総理が「従来のものにおいても犯罪を結社の目的とする組織的な組織に限る事実上のオプションを取ってきた」と答弁したことを踏まえ、「今回はそれ(「組織的犯罪集団」とする概念)を明示的に書いたものということなので、結局、組織的犯罪集団という概念がない従来の共謀罪法案でも、犯罪が成立する主体の範囲は今回の法案と同じではないかと考える」との見方を階議員は示し、金田大臣に確認を求めた。しかし、金田大臣は「犯罪対象を解釈ではなく明文化したのが違いだ」などとする旨の答弁を繰り返すだけで、「明文化したことに留まるのであれば内容面では従来とは変わっていない。改善とはいえないのではないか」との階議員の問いにはあくまでも金田大臣は答えず、質疑は紛糾した。