衆院法務委員会で19日、共謀罪法案(組織犯罪処罰法改正案)が実質審議入りし、枝野幸男議員が質問に立った。

 枝野議員は冒頭、(1)与党側も外務大臣は要求があれば出席するとしていながら出席をしていない(2)欠席であるにも関わらず外務省から一切連絡がなかった――ことについて委員会の運営体制を問題視した。

 さらに、基本的な事項に大臣が答えず、政府参考人に委ねている事態を厳しく批判した。これは、国会審議の活性化や政治主導とするため政務官や副大臣を設けているにも関わらず、こうした前提が崩れているため。

 また民主党政権時、野党だった自民党は、衆議院規則で細目的・技術的事項については政府参考人の説明を聴くとしているにも関わらず、政府参考人を呼ぶことを認めず、さらに質問する側に権利があると主張し、答弁しようとした国務大臣に発言を認めていなかったことを引き合いに出し、前例のないことをやっていると指摘した。

 枝野議員は、国際組織犯罪防止条約(TOC条約)と共謀罪法案との関係について、条約を所管する外務省、国内法である共謀罪法案を所管する法務省に対し質問を行った。

 TOC条約について、経済的に利益を得るための国際的な犯罪組織を取り締まることが目的であるのに対して、いわゆるテロリズム集団は金儲けが目的ではなく、政治的・宗教的な意見を実現することが目的であるため、この条約の対象から外れるのではないかと指摘した。

 また条約で「金銭的利益その他の物質的利益を得ることに直接又は間接に関連する目的」と限定を加えているが、共謀罪法案で範囲を広げており、「明らかにおかしい」と指摘した。

 また日本音楽著作権協会(JASRAC)がピアノ教室などに対し著作権料の支払いを主張していることを例に、ピアノ教室やその団体が組織的犯罪集団に該当するか答弁を求めると、「該当しない」とするものの、条文に則した答弁がなかったため、「JASRACの見解によると、このまま対立が続くと組織的犯罪集団に当てはまるが、それを否定する答弁が出来ていない。明らかに法の欠陥だ」と指摘し、質問を終えた。

共謀罪の欠陥についてただす枝野幸男議員

共謀罪の欠陥についてただす枝野幸男議員