民進党は19日午後、「ムダ遣い解消プロジェクトチーム(PT)――ダレノ(誰の?)ミクスプロジェクト」(江田憲司座長=党代表代行)と内閣部門(行政刷新・行政改革)(今井雅人座長=ネクスト内閣府特命大臣)との合同会議を国会内で開催し、日本社会事業大学への天下りについて厚労省より、東北農政局発注事業をめぐる談合疑惑について農水省より、東日本大震災からの復興等に対する事業の実施状況等に関する会計検査の結果について会計検査院より、それぞれヒアリングを行った。
日本社会事業大学については、かつて人事・経営に関し厚生省社会局長の事前承認を得るという社会局長と大学理事長、学長の3者間の覚書が締結されていて、これが天下りの温床になるとの理由により、2009年民主党政権時に破棄されたが、今に至るまで過去の慣例が続いているとの内部情報が党に寄せられたことから今回この問題が取り上げられた。この日本社会事業大学には、文科省から私学助成金という形ではなく、厚労省から経営委託費という形で毎年4億円前後(学校全運営費の約25%)の公費が投入されている一方で、専務理事や事務局長に歴代厚労省OBの再就職が長年にわたり繰り返されており、また、教授の中には厚労省官僚が現役出向している例も見られ、公金投入と天下りに何らかの関係があるのではないか、その真偽の解明をすべく質問が出席議員から続いた。問題の解決には、専務理事や事務局長から直接話を聞く必要があるため、厚労省からも両OBへ強く働きかけるように要望した。
続いての東北農政局の天下りOBを中心とする談合疑惑については、前回のPTでの要望通り、当初は東北農政局職員をこの場に呼んでヒアリングを行うこととなっていたが、会議当日に農水省側から、東北農政局職員は呼ばずに本省対応としたいとのキャンセルの申し出が一方的にあった。キャンセルの理由も「ご理解願いたい」の一点張りで、疑惑の解明どころか、疑惑隠しとしか思えない不誠実な農水省の対応にPTとして強く抗議するとともに、引き続き真相解明を行っていくことを確認した。
最後は、会計検査院より、東日本大震災からの復興等に対する事業の実施状況等に関する会計検査の結果についての報告があった。復旧・復興予算の執行等の状況について、集中復興期間5年間の予算現額計33.4兆円の2015年度末現在の執行状況は、5カ年度全体の執行率82%、繰越率4%、不用率13%とのことであった。繰越額や不用額をどう捉えるかにもよるが、9兆円近くが未使用だったとも言え、増税までして措置している復興予算について、本当にニーズに合った運用がされているのか、今後も精査が必要である。