野田佳彦幹事長は14日午後福島県を訪れ、福島市内で県の担当者と東日本大震災、東京電力福島第1原子力発電所事故からの復興状況について意見を交わした。

 冒頭、野田幹事長は「福島については、私も総理の時に『福島の再生なくして日本の再生なし』と高らかに宣言させていただいた。その気持ちは今も変わらない。野党になったがしっかりと復興をサポートをしていきたいと昨年の夏まで党の東日本大震災復興対策本部の本部長を務め、被災地を訪れ復興の状況を把握させていただいていた。久しぶりにあらためて復興の現状、課題などをお聞かせいただき、国会で取り組めることはしっかりと取り組んでいきたい」とあいさつした。

 意見交換ではまず、県の櫻井企画調整部長が、(1)避難指示区域の状況(2)避難者数の推移と人口(3)人口の動向(4)環境回復に向けた「除染」(5)県内の空間放射線量の推移(6)避難者の生活再建に向けた取り組み(7)農林水産業の再生に向けた取り組み(8)観光・交流の再生に向けた取り組み(9)県内商工業の復興・再生に向けた取り組み(10)再生可能エネルギーの推進に向けた取り組み(11)医療関連産業の集積に向けた取り組み(12)福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想――など福島県の復興のあゆみについて説明。「ピーク時には福島県全土の約12%だった避難指示区域は2.7%にまで減少した」「ピーク時約16万人の避難者は現在7万1千人ほど(県外が4万人弱、県内が3万人強)」などと復興の進捗状況を述べる一方、人口の動向については震災以前から進んでいた課題だとして、震災復興とは別に地域の活性化や景気対策などを進めていく必要があるとの認識を示した。

 空間放射線量については、2011年4月に福島市内で1時間あたり2.74マイクロシーベルトだったものが現在は同0.17マイクロシーベルトと16分1程度になり、海外の諸都市ともほぼ同じ水準だと強調、「もっと多くの方に知ってもらいたいと思っている。どうしても高い時や何かがあった時にはニュースになるが低いことや安定していることはニュースになりにくい」と悩ましい状況を打ち明けた。

 野田幹事長は意見交換後記者団に対し、福島の震災・原発事故からの復興への取り組みについて「もともと総理の時に国会での大事な節目の演説で『福島の再生なくして日本の再生なし』ということを申し上げた。それは当然政権としての重たい決意を申し上げたつもりだが、野党になった今もその思いは変わらず、しっかりと福島の復興を支えていきたいと思っている。被災地のさまざまな思いや課題を伺いながら国会のなかで生かしていきたい」などと述べた。

 意見交換で特に印象に残ったこととして空間放射量の推移に言及、「海外の諸都市と比べてもほとんど同じくらいの数字だが、そのことを世の中の人は結構知らないのではないかと思った。もっとこういうことをわれわれも共有して、風評被害を払拭するためにしっかりと伝えていくことが大事だとあらためて知ることができた」と語った。 
 意見交換には、党福島県連役員の瓜生信一郎、亀岡義尚、高橋秀樹各福島県議会議員、佐藤実伊達市議会議員らも参加した。