衆院議院運営委員会で1日、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案」の質疑が行われ、質疑終局後、各会派から意見表明が行われた。民進党は、野田佳彦幹事長が賛成の立場から意見表明を行った。

 野田幹事長は、民進党が他党に先駆けて昨年12月、『皇位継承等に関する論点整理』を取りまとめたこと、皇室典範本則を改正して、「天皇は、皇嗣が成年に達しているときは、その意思に基き、皇室会議の議により、退位することができる」旨の規定を設けるべきとの考え方をまとめたこと、自らの意見を主張する一方で、国民を代表する立法府での総意形成に向けても全力を傾注してきたことなど、立法府としての考えをまとめるまでの民進党の取り組み経過と考え方を説明した。立法府の総意となる取りまとめが行われたことについては、「大きな意義があり、憲政史上に残る成果となったと受け止めている」と強調した。

 同日の国会審議については、「将来の先例となり得ること」「遅滞なく法律を施行すること」など民進党が指摘した主要な論点について政府から確認答弁を得ることができたために「賛成すべきと考えた」と理由を述べた。

 今後の課題については、「この法律によって天皇陛下の退位、皇嗣の即位が実現することになるが、皇位の安定的継承をはじめ皇室・皇位に関わる現実に差し迫った重要な課題についても引き続き向き合っていかなければならない」「皇位は男系で継承されてきた歴史的経緯を踏まえつつ、他方で、高齢化や女性皇族のご結婚に伴う皇籍離脱により、天皇陛下及び特定の皇族方にご公務が集中し、皇室のご活動の維持や皇位継承資格者の確保に困難が生じることへの対応が速やかに検討されなければならない」などと語った。

 野田幹事長は、付帯決議案に「女性宮家の創設等」という文言が入ったことについて、関係者への謝意を示し、最後に「皇室の弥栄(いやさか)を祈念し、両陛下、皇族方のお気持ちをくみ取りながら、しっかり国家の基本に関わる象徴天皇制を支えるため、わが党は引き続き努力を傾注していく決意である」と述べ意見表明を締めくくった。

■委員会終了後のぶらさがり記者会見

 野田幹事長は、委員会終了後に国会内で記者団からの取材に応じた。
 衆院議院運営委員会で特例法案が可決されたことの受け止めを問われると、「さまざまな議論がある中で、立法府で総意を取りまとめてそれに即した法案なので、そういう規律という形で可決できたことに大変深い感慨を覚えた」と感想を述べた。

 今後民進党として、女性宮家の創設と皇位継承について研究や検討を進めていくのかという問いには、「皇位検討委員会はこれでお役御免でなくて、引き続き存続して、これまで一定程度の考え方を持っているが、議論はさらに深めていきたいし、その議論も世の中に随時公表することによって世論喚起していきたい」と引き続き議論していく考えを示した。