参院で10日、前川喜平前文部科学事務次官を参考人として招いて文教科学委員会と内閣委員会の連合審査会が開かれ、質問に立った蓮舫代表は、加計学園疑惑などについて、関係閣僚らに厳しく迫った。

 蓮舫代表は冒頭、「九州で甚大な被害をもたらした豪雨災害で、亡くなられた方のご冥福を祈るとともに、被害にあわれた方にお見舞いを申し上げる。民進党は復旧に向け、政府に最大限の協力をさせていただく。政府も最大限の措置をとってほしい」と述べた。そのうえで蓮舫代表は、「特別警報が出ているさなか、稲田大臣が70分間防衛省にいなかったことは適切と考えているか」と菅官房長官に質問。菅官房長官は「適切だと思っている。電話で連絡ができる状況にあった。15分で帰ってこれるところにいた」などと、問題はないとの認識を示した。蓮舫代表は、「被害が広がる状況にある中、大臣が防衛省を不在としたことを問題ないという認識を理解できない」と指摘した。

 加計学園疑惑について蓮舫代表はまず、「衆院の審査には出席した藤原内閣府審議官が参院の審議には出席できなくなった。丁寧に説明するといった安倍総理の言葉は自民党には降りていないのか。丁寧という言葉の意味が私たちとは違うようだ」と述べ、与党側の対応を批判した。

 蓮舫代表は、「昨年の10月7日の『萩生田副長官ご発言概要』は、加計学園を念頭に置いて萩生田官房副長官が発言した内容がいくつも明記されている。萩生田副長官はこのような発言をしたのか」と質問。萩生田副長官は、「ご指摘の文書は文科省で確認のできなかった文書だ。10月7日に担当局長から説明を受けたが、メモにあるような言葉で回答した記憶がない」と答弁。松野文科大臣も、「この文書は追加調査でも存在しなかったと認識している」と答えた。蓮舫代表が前川参考人に、「政府の方たちはことごとく記憶にない、存在が確認できないなどとしている。そんなに文科省の文書管理はずさんなものなのか」との確認に対し前川参考人は、「探せば出てくる文書だと思っている」と明快に答えた。

答弁する前川参考人

答弁する前川参考人

 蓮舫代表はさらに、「前川参考人の答弁と政府側答弁との食い違いが目立つ」と指摘。さらに菅官房長官が前川参考人について「文科事務次官の地位に恋々としていた」と発言したことに関して前川参考人に確認を求めたうえで、「前川参考人は『1月5日に大臣に辞めたい』と言った。果たしてどちらが本当のことを言っているのか。この話には杉田官房副長官、藤原内閣府審議官、和泉総理補佐官の3人しか登場しない」として、疑惑を解明するために3者の証人喚問を要求した。

佐川理財局長について質問する蓮舫代表

佐川理財局長について
質問する蓮舫代表

 「佐川理財局長が論功行賞として国税局長官に栄転する。前川参考人のように自分たちを批判した人は個人攻撃される。幹部人事の一元管理は、政治主導で内閣や総理を補佐する力を強化するために取り入れたが、今や忖度(そんたく)する人だけが栄転する仕組みになっている。また秋葉原で総理は、『こんな人たちに負けるわけにいかない』と国民を分断した。自分たちを支持する人は味方で、非難する人は敵とする姿勢を改めてもらいたい」と蓮舫代表は断じ、加計問題などの追及のために、安倍総理出席の集中審議、臨時国会の開催を強く求めた。

■ぶら下がり記者会見

 質疑後に記者団に感想を求められた蓮舫代表は、「丁寧に説明するという姿勢が全く見られないのが非常に残念だ。政府からは積極的に説明をしていただけるものと思っていたが、これまでと変わらないという姿勢だ。何も前に進まなかった。むしろ疑惑は深まった」と述べた。

 今後民進党としてどのような対応を政府に求めていくかとの質問に、「まだまだ質疑は不十分。安倍総理にはご出席をいただかなければならない」「政府・与党側には『もう早く終わらせたい、今日1日でいいのではないか』という姿勢が相当透けて見えたが、非常に残念だし遺憾だ。引き続き強く臨時国会の開催を求めていきたい」と述べた。