安倍総理の長年の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部新設を文部科学大臣が認可したことを受けて15日に開かれた衆院文部科学委員会で、「無所属の会」から質問に立った元文部科学大臣の平野博文衆院議員は、「内閣委員会との連合審査を行えばもっと中身が分かる」「特区という仕組みに教育の分野を持ち込むのは疑問」などと表明した。
平野議員は「既存の大学では対応が困難」など国家戦略特区で獣医学部を設置するための4条件について、「既存の獣医学部でも新たな時代の変化に対応する獣医師を養成することはやっているのではないか」と述べ、国家戦略特区で獣医学部をつくらなくても、既存の獣医学部が時代の変化に対応する獣医師の養成をしていることを指摘。さらにこの点について平野議員は既存の獣医学部設置校の何校かに問い合わせたとして、「学部の元教授やそういう方々に聞いたが、各学校が時代に応じて獣医師を養成しないと大学自身が取り残されてだめになるのだと言っていた。当然だと思う」と語った。
平野議員は博士課程のない加計学園のカリキュラムについても触れ、「大学院ドクターコースを含めて作っていってこそ展望がある。いまの加計についてはそういう発想もできていない。そういう中でこの議論が空転しているような気がしてならない」と批判。そのうえで、「文科省は特区でつくられるならやむを得ないということではなくて、文科省は人材養成する所管の役所だから、そこはしっかり、これは絶対だめだと抵抗してでも、やっぱりわが国の人材を養成していく役所として誇りをもって、だめなものはだめだと言える役所になってもらいたい」などと元文科大臣として文部科学省に要請した。
認可が下りない間も、認可が下りるかのように校舎の建設を進めていた加計学園について林文科大臣が「開学に間に合うように申請者の責任と判断で行われる」と述べたことに平野議員は、「経営する加計の問題だということにならない。税金を使うから。税金を使わなければわたしは良いと思うが、公金を使って助成していくのだから、ここはもう一度原点に返って在り方の議論をしてほしい」と特区の在り方の議論を求めた。