民進党が9月28日に開いた両院議員総会で了承された「民進党公認候補全員の希望の党からの立候補」は果たされず、衆院選を経て野党勢力の分断につながった。衆院選後の国会・党運営と今後をどうするか。平野博文国会対策委員長、那谷屋正義参院国対委員長、篠原孝選挙対策委員長、足立信也政務調査会長に聞いた。

国会対策委員長 平野博文[ひらの・ひろふみ]衆院議員

■国会対策委員長■ 平野博文[ひらの・ひろふみ]衆院議員

 党籍を持った無所属候補として衆院選を戦った立場なので、党の国会対策委員長を引き受けるのはどうかという思いも当初ありました。これまで国対を中心に政治活動をしてきましたが、野党が衆参でねじれている現在のような政治の構図は初めて。与党を利する政治勢力になってしまっている点を何より危惧(きぐ)しています。大きな固まりを作らなければ巨大与党に対峙(たいじ)できないとひしひしと感じています。

 特別国会冒頭、審議時間について野党分を巨大与党が削ってくるという大問題がありました。与党経験者のわれわれからすれば論外ですが、数の力で押し切られたのが現状です。いずれにしても民進党が衆院選で名簿届出政党にならなかったことによるハンディは大きい。みんなが希望に行けないと判明した時点で大阪府連は民進党としての立候補を党本部に求めましたがかなわなかった。その結果、こんな分裂状況になってしまったわけで極めて残念です。国民目線では衆院選に出なかった民進党は存在感をなくしています。しかし野党第1党としての参院の力を借りながら衆院でどんな力を発揮できるかを検討するのが国対委員長としての私の役割だと思っています。大塚耕平代表の言葉で語れば、民進党がどうイノベーションをしていくか。その方向に沿うように国会対策をしていかなければいけません。大きな枠組みをつくること、2大政党制の一翼を担う固まりに党が大きく脱皮していくことが不可欠です。

 巨大与党に対峙(たいじ)するため、通常国会では一段と立憲、希望を含めた野党間連携を十分にとらなければなりません。「国民の代表としての主張を与党に発信する」「政府を監視する」︱︱という2つの役目を、国民の期待通りに野党で連携しながらどう進められるかです。国会対策上は政党間の問題は別にして連携しなければならないと思います。


 ■参院国会対策委員長■ 那谷屋正義[なたにや・まさよし]参院議員

■参院国会対策委員長■ 那谷屋正義[なたにや・まさよし]参院議員

 無所属の会の平野博文国対委員長と連携を密にすることを重視しています。同時に無所属の会、立憲、希望それぞれの連携強化が欠かせません。1月からの通常国会は会期も長く法案も多くなるので、連携を一段と密にしなければなりません。

 参院民進党は野党第1党として、例えば12月7日に文教科学・内閣委員会の連合審査を行いました。森友・加計学園の問題をめぐって衆院は文部科学委員会で総理の所信表明演説前の11月15日に議論し、参院としては時間をおいて連合審査としました。それは参院の独自性を活かし、衆院の質疑を分析してより深く掘り下げるかを、吟味することが重要と考えたからです。野党第1党として積み上げてきた経験を踏まえ、与党に要求して実現させた展開といえます。

 今後の党の在り方については、日本の政治で自民党に代わり得る大きな器になることを目指し、1強多弱ではいけないという大前提に立ってともに行動をすることが求められています。

 安倍政権は国家主義、国家ありきで、そのための国民があるという位置づけですが、私たちは、国民がいかに充実した人生を送れるかという、一人ひとりの国民を起点にし、そのために国家はどうあるべきかを議論していきます。安倍総理が向く方向とは真逆と言えます。このスタンスを野党みんなが共有できるかどうかが大きなカギです。私も参院国対委員長として、党の内外でその務めを果たしていく決意です。

■選挙対策委員長■ 篠原 孝[しのはら・たかし]衆院議員

■選挙対策委員長■ 篠原 孝[しのはら・たかし]衆院議員

 全国11ブロック広聴会で話を聞いて、「民進党は一番すわりがいい」と考える人が多いという印象を受けました。衆院選に候補者を立てなかったため「民進党はなくなった」と思う有権者は多いので、「民進党では戦えない」と思うのは当然です。しかし一方で、有権者の中には「立憲はいま一つどういう方向に行くのかわからない」「希望は第2保守で衆院選前に期待した流れとは違う」と受け止めている人も多くいます。そうした中であらためて見ると「民進党は一番すわりがいい」と段々と気付いてくるのではないかと思います。今後の民進党のあるべき姿を聞いたANN世論調査(11月4・5日実施)は、「希望との合流」5・0%、「立憲との合流」18・6%、「立憲・希望と1つの政党に」23・4%、「民進党として活動」39・6%。中道、リベラル保守の民進党がいいという表れかもしれません。

 「参院は第1党だが衆院は無所属の会十数人しかいない」といった変則的な形は前例がないので、難しい党運営が迫られます。しかし、将来展望は明らかで、野党がまとまっていくことを目指すしかありません。立憲の枝野代表は「数合わせを国民は考えていない」と発言していますが、日本国民は極端な右左ではなく中庸を得たところに一番安心感を持っています。都民ファーストの大勝はその雰囲気が出ていたからです。

 選対としては、無所属で出ざるを得なくて落選した人はもちろんのこと、党の方針に従って希望に行って議席を失った、元議員や新人を支援していくこともいわば親元の民進党の使命だと強く思います。

 1年半後の参院選で野党統合に向けて、2007年並みの勝利(1人区非自民と自民が23勝6敗、全体で非自民75対自公46)を収める、これは野党統合に向かうひとつの試金石です。1人区や2人区では野党が一つになり、比例代表でも野党統一比例名簿で戦い、そのまま衆院選につなげていく所存です。こうした国政選挙での戦う姿勢が、参院選前の統一自治体選での勝利にもつながっていくと確信しています。

■政務調査会長■ 足立信也[あだち・しんや]参院議員

■政務調査会長■ 足立信也[あだち・しんや]参院議員

4つの部会態勢

 政務調査会は従来のような委員会別の部門会議制ではなく、対応委員会を4つのまとまりにした部会制(右図参照)とし、「次の内閣」に代わる党の政策決定機関は政務調整会議としました。政務調整会議の議論は(1)代表、代表の指名者、政調会長、各部会長、法案を所管する委員会理事等で話し合う(2)党を二分するようなテーマは常任幹事会に上げる(3)あまり紛糾しない案件は委員会理事の出席は求めない――という3段階があります。

 政調会長として、議員立法は成立に向け汗をかくことが基本だと考えます。可能な限り与党の賛同も取り付ける。特別国会で民進党時代に作成した法案を立憲が提出したのですが、成立を目指し広く声をかけてほしいし、民進党にはなおさら声をかけるべきなのにされなかった。立憲が自分たちで提出したいと思うのも分からなくはないが、成立に向け汗をかかなかったのは残念です。

 民進・立憲・希望3党での政策協議の枠組みを党で作ってくれという声がありますが、見当違いだと思います。法案成立に向けて個々の議員が動き、各野党や与党との連携の最善策を考え、政策協議に発展させる。待ちの姿勢ではなく、個々の議員が成立への道筋を模索する。これは広い意味で大塚代表の言う、ポリティカルイノベーションです。一人ひとりがそういう意識で取り組まなければ、政策の成就はありません。特に衆院では、民進党単独では法案提出できないことに留意すべきです。

 民主・民進として20年以上かけて作り上げてきた政策、そして幻となった衆院選マニフェストを訴えた民進党候補者がゼロだったなか、力説したのは立憲の枝野さんでした。そして多くの政策は、国民の皆さんから支持されたと考えます。民進党議員はいま、衆院選マニフェストの内容を踏まえ、「われわれはこうだ」と主張すべきです。そこを起点に、国民の皆さんにとって大事な政策ごとに大きな固まりをつくれる素地があると思っています。合同勉強会も既に部分的に始まっています。

(民進プレス改題32号 2017年12月15日号8面より)

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