野党6党(民進・立憲・希望・共産・自由・社民)は12日、財務省「森友文書」ねつ造疑惑野党合同ヒアリングを国会内で開いた。

 森友学園への国有地売却に関わる財務省の決裁文書書き換え疑惑について、財務省の担当者は、「森友事案に関する14件の決裁文書の書き換えが行われていることが分かった。書き換えが行われた経緯や目的は最終的に書き換えの経緯についての人事当局の調査結果を見る必要があるが、これらの書き換えは昨年2月の下旬から4月に本省理財局で行われた」と報告した。

 書き換えを行った理由について財務省の担当者は、「書き換えられた文言を見る限り、これまでの国会での答弁が誤解を受けることとならないようにするために行われたのではないかと現時点では考えている」とした。

 配布された添付資料の「決裁文書の書き換えの状況」を見ると、書き換え前には記載してあるのに書き換え後の部分では記載が削除されていたり、その逆のケースもあることについて、出席議員からは「書き換えではなくて、隠蔽、改ざんだ」と批判が相次いだ。

 桜井充参院議員は、添付資料の20ページに「差替前」と手書きで記載されていることに触れ、「これは差し替え前ですよとわざわざふらなければいけないということは、明らかに故意でやっている証拠だ」と指摘した。また43ページの「議員等の来訪状況」の部分に国会議員と並べて安倍昭恵総理夫人の名前が記載されていることも指摘し、「私人なんでしょう。公的な人ではない人の名前がなぜここに上がっているのか」と述べ、「(昭恵夫人が)一民間人じゃない扱いをするような1人であったわけだろう」と政府答弁で私人としていた安倍昭恵総理夫人の決裁文書での扱いに疑問を投げかけた。

 杉尾秀哉参院議員は、本当にこれですべての文書を出しているのかと質問。「いちいち政府・与党と相談して進めているから、今の政権に都合が悪い決定的なものが出ていないんじゃないかという心配や危惧の念はある」と語った。

 財務省の担当者は、誰が指示をして理財局の一部の職員が書き換えをしたのかという議員団からの質問に対して、「まさに理財局が自らの判断で」と明確に回答。これに対して議員団からは、「そこだけは明確だ」「これから聞き取りをして、どういう経緯で誰が指示したか調べなければいけないとあれだけ言っていたのに、なぜここだけ明確に答えられるのか」と矛盾を指摘する声が相次いだ。佐川前理財局長が書き換えのことを知っていたのかについて問われると財務省の担当者は、「まだ人事当局の調査が終わっていない」と明確な回答を避け、出席議員から「だったらなぜ政治家が絡んでいないと断定できるのか。矛盾している」と答弁の矛盾を指摘する声が上がった。

 出席議員からの「財務省自らなぜ嘘をつき続けたのか」という問いには、「これまでの答弁が相当量にあって、それとの関係でそれ以降の答弁が誤解を生じないように」と財務省の担当者は回答。別の出席議員からは、「誤解の答弁があるなら答弁を修正すればいい話。公文書を改ざんする話には普通ならない。なぜメリットがないのにここまで大規模な改ざんが行われたのか。これが問われているがそれに対する答えが全くない」と財務省がわざわざ危険を冒してメリットがない公文書の書き換えをする理由を問いただしたが、明確な答えはなかった。

 他にも出席議員からは、「改ざんを始めたのは2月下旬から4月となれば、いわゆる佐川さんの答弁で誤解を招くようにしないように書き換えたというわけにはならない。『私や妻がこの問題に関わっていれば議員を辞める』。これは総理の2月17日の答弁。これに合わせて改ざんがスタートしたとしか考えられない」等の指摘もあった。

 また、昨年11月22日に会計検査院が調査報告を提出したが、その調査の際に財務省からは書き換え後の資料の提出を受け、国土交通省からは書き換え前の資料の提出を受けていたことを同院が知っていた事実も質疑で発覚し、次回のヒアリングまでに事実関係を調査するように議員団は会計検査院に求めた。

PDF「財務省調査結果(決裁文書の書き換えの状況)」財務省調査結果(決裁文書の書き換えの状況)