参院予算委員会で公文書管理・行政の在り方等をテーマとする集中審議が19日行われ、民進党・新緑風会の2番手として質問に立った大野元裕議員は、森友学園決裁文書の改ざん問題 について、「もはや財務省には自浄能力はない」と指摘し、第三者委員会を設置して決裁文書の改ざん問題を調査するよう強く求めた。
冒頭、「財務省が廃棄した、存在しないと言ってきた森友学園との交渉の記録文書が存在した」旨を同日19日に毎日新聞が報じた件を取り上げ、実際に存在するのであれば委員会に提出してほしいと要請した。麻生大臣は「一連の対応を行って一段落したところでさらなる対応を行っていかないと(いけないこと)ははっきりしている」などと答弁するにとどまった。
大野議員は、安倍総理が2016年3月に「私の妻がここに講演に行ったことも近財局長(近畿財務局長)は全く知らなかったわけでございまして、そういう意味においては、当然忖度(そんたく)の働く余地は全くなかった」旨を語った答弁にも着目した。安倍総理は「権限のある人物が知らなかったら忖度には至らない」と言った論理を展開していたが、今回の決裁文書の改ざんでは「安倍首相夫人が学園の教育方針に感涙した」などという記載が削除されていることから、「(文書を改ざんするような)権限のある人間は知っていたということになるので、総理の答弁にあった忖度の余地はないという論理は崩れないか」と大野議員は迫った。これに対して安倍総理は、当該答弁は「売買に関するものだ」などとする答弁を繰り返した。
大野議員はまた、防衛省による南スーダン日報隠ぺい問題に言及し、この件を調査した特別防衛監察は第三者による調査形式を取らなかったが、調査責任者・調査対象項目・調査機関・調査方法等を公表したことから、「今回の調査もこれらを公表すべき」として対応を求めた。麻生財務大臣は、大阪地検の捜査中であることを理由に公表することを拒み、「地検の捜査が終わり次第、できることはさらにあろうかと思う。そうしたことをさせていただいたうえで、ご疑念にお答えができるよう最大限の努力を図る」などと語るにとどまった。
財務省が決裁文書改ざんを認めた12日朝の会見で麻生大臣がこの問題に関して「最終責任者が理財局長である佐川ということになる」と断言したことも大野議員は問題視。「これを言ってしまっては調査をしている方も、忖度と委縮のなかではそれしかない(ということになる)。捜査に影響すら与える」と指摘し、麻生大臣の対応を批判した。
大野議員は質疑の最後に「麻生大臣を尊敬しているが、財務省をコントロールできていない。ここは一度身を引いた方がいい」として麻生大臣に辞任を要求した。また、「改ざん・隠ぺい問題を契機として委縮・忖度の問題があり、トップだけを守る安倍政権の体質が明らかになった」とも指摘し、こうした問題解決に向け、民進党はこれまでも提出してきた法案(公文書管理法改正案、情報公開法改正案、国有財産法改正案、政官接触記録作成法案、公益開示法案、公益通報者保護法改正案、歳入庁設置法案=総称「政府浄化7法案」)をブラッシュアップして提出に向けた準備を進めていると表明した。大野議員は「われわれの手で改革を進める」と宣言し、質問を終えた。