参院予算委員会で28日、安倍内閣の基本姿勢に関する集中審議が開かれ、民進党・新緑風会から質問に立った川合孝典議員は森友学園問題について(1)決済文書改ざんについての所見(2)会計検査院による再検査(3)森友学園の土地の再調査(4)第三者調査委員会設置の必要性――などを安倍総理らに質した。

 川合議員は冒頭、「今回の(財務省による)改ざん文書の本委員会、会計検査院への提出は、憲法に基づく国政調査権を妨害し、国権の最高機関たる立法府を欺き、さらには議会制民主主義を否定し本院、予算委員会を冒涜する言語道断の暴挙であるということは言うまでもない事実だ」と厳しく断罪。その上で、「昨日ようやく佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問が行われたが、肝心の決済文書の改ざんに関しては全て証言を拒否した。関連質問にも証言が得られなかったのが実情だ。今回の証人喚問ではむしろ、疑惑が深まったのではないのかと言わざるを得ない。何のために宣誓を行って証人喚問に出てきたのか。ただのアリバイ作りではないのか」と指摘し、真相解明に背を向けた佐川氏の姿勢を批判した。

 一連の佐川氏の証言について川合議員は、「疑惑を解明して真相究明し、再発防止につながることに資するものだったか」と、安倍晋三総理大臣に見解を求めたが、「政府側としては評価、論評は控える。証言との関係の判断は国民の皆さんの判断にまかせる」との答弁に留まった。

 川合議員は「安倍総理も麻生太郎財務大臣も知らないところで改ざんが行われていたというなら関係者を提訴するべき。怒っているなら責任を問う姿勢を示さなくてはならない」と質問したが、安倍総理は、「大阪地検が捜査している。真相が明らかになってから」との後ろ向きの答弁に終始。川合議員は、「毅然たる対応が取れるかどうかが疑惑の払しょくにつながる。中途半端な対応は、政府が役所を守っていると見られかねない」と指摘した。

 会計検査院の検査について川合議員は、「会計検査院は、改ざん後の文書で検査報告書を出している。改ざん前の正しい文書をきちんと検証した上で、その経緯を確認しない限りは正しい会計検査報告書が出せない」などと指摘。金子原二郎参院予算委員長に対して、「真相究明と再発防止は与野党問わずに声を合わせて訴えている。予算委員会の総意だ」として、正しい資料に基づいて会計検査院が再検査を行うことを委員会で議決するよう要請した。

 森友学園の土地の再調査については、「『ごみがあるかもしれない』という仮説だけで議論している。その結果ものごとが前進していない。この土地の再調査を指示すべきではないか」と石井啓一国土交通大臣に迫ったが、「校舎の建築を請け負った建設会社が、工事代金の未払いということから建物の所有権、土地の留置権を主張して占有されている。ただちに再調査は困難な状況だ。管財人と土地建物の扱いの交渉中だ」などと答えた。川合議員は、「再調査要請はできるはず。建設会社も虚偽報告に関わるなど、一連の問題に関わる一方の当事者であり、一方的に留置権の主張にはならないのではないか。この問題が明らかにならない限り、値引きの根拠が明らかにならない」と述べ、再調査をできるかどうかで、真相究明に向けた政府の本気度が問われると指摘した。

 財務省が現在続けているとする内部調査について川合議員は、「そもそも、この問題の発覚から1年以上経っている。正しい文書が何なのかもわれわれに提示されていない。その状況で、正確な結果が出てから報告すると言われて誰が信用するのか。一連の不祥事を起こした財務省が調査をすることに正統性があるのか」「1年以上うその資料で審議を行わさせられたということ。財務省の内部調査では全く不十分」と厳しく批判。金子参院予算委員長に、公平公正な第三者調査委員会の設置を予算委員会として議決するよう要請した。

 最後に川合議員は、自身も安倍昭恵総理夫人も関わっていないというこれまでの安倍総理の答弁を、「苦しい答弁だが、つまりは、関係はあったが関わってはいないということだと思う」と述べた上で、「籠池氏は定期的にやり取りしていたという。一方が主張しているならもう一方の意見、証言も聞きたい」として安倍昭恵夫人、迫田英典元理財局長、武内良樹元近畿財務局長、谷査恵子夫人付きの証人喚問を求めて質問を終えた。