参院本会議では13日、2016年度補正予算に関する財政演説に対し、民進党・新緑風会から津田弥太郎議員が質疑に立った。今期で引退することを決めている津田議員は、「この場に立つのはこれで最後になるだろう」と述べ、2期12年の参院議員生活の集大成として、力のこもった質問を行った。
津田議員は、民進党が熊本地震の発災直後に災害対策本部を立ち上げ、被害状況の把握や緊急要望の集約、被災地の視察を行い、補正予算について政府・与党に申し入れや提案を行ってきた経緯を振り返り、「民進党は補正予算の早期成立について、政府・与党に全面的な協力をする立場だ」と表明した。その上で、「この度の補正予算が、政府・与党だけの議論ではなく、わが党をはじめとする野党の意見も反映して編成されたのか」「わが党の要望の中で盛り込まれたものは何か」とただした。安倍総理は、「御党からいただいた『早期編成・成立』『十全な予算額の確保』『裁量度の高い予備費の創設』という要望に沿った内容となっている」として理解・協力を求めた。
津田議員はまた、被災者支援の具体策、ボランティアやNPOに対する支援、ライフラインや交通網の復旧支援、経営基盤の弱い中小企業への支援と雇用維持のため緊急対策、農林水産業や観光の分野での復旧事業や風評被害対策についてただした。とりわけ被災者の生活再建の要となる「住宅再建支援」については、「最高額を300万円から500万円に引き上げるべき」と訴えたが、安倍総理は「増額や支給対象の拡大は、東日本大震災をはじめとする過去の災害被災者との公平性、他の制度とのバランス、国や都道府県の財政負担などを勘案して慎重に検討すべき」と、消極的な答弁にとどまった。
津田議員は、今年1月に成立した2015年度補正予算で低年金高齢者への1回限りの3万円のバラマキ給付や、国会での承認・発効が不透明な中でTPP対策費などが計上されたことを、「補正予算にあるまじき措置が盛り込まれた」と厳しく批判し、「こうした措置を緊急に停止してでも、今回の財源に回すべきだ」と主張した。これに対し安倍総理は「無駄を排除していくことは大変重要であり、政府として不断に取り組んでいく」などとしたが、具体的な方策は示されなかった。
最後に津田議員は安倍総理に対し「私の遺言だと思って聞いてほしい」として「産業競争力会議に巣食う『政商』の問題」を指摘。「人材ビジネス大手の会長が労働市場の流動化に関与すること、医薬品のネット通販会社を傘下に持つ経営者が薬のインターネット販売解禁に関与することなどは、絶対に認めるわけにはいかない」と力を込め、「産業競争力会議のメンバーを見直すか、自らの企業に直接関わる分野の議論には参加させないということを約束してほしい。地震は『天災』だが、国の中枢に位置する組織の人事の過ちは、間違いなく『人災』として社会を蝕むことになる」と警鐘を鳴らしたが、安倍総理は「指摘は当たらない」とはねつけた。